2018 Fiscal Year Research-status Report
抗菌光線力学療法を応用した誤嚥性肺炎コントロール―新規口腔カンジダ症予防法の開発
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18K09894
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉田 彩佳 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (00609414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗菌光線力学療法 / 歯垢染色液色素 / Candida albicans |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の死因第 3 位である肺炎は,高齢者の誤嚥性肺炎が極めて高率を占めている。誤嚥により真菌性肺炎の原因になりうる常在菌のカンジダ菌 (Candida albicans) は,抗真菌剤による治療を施しても多くが再発するため,耐性菌を産生しない新たな根本的治療法の開発が求められている。そこで申請者は,抗真菌剤とは異なる機序を用いる光励起色素でもある歯垢染色液色素の光励起で産生される活性酸素種による殺菌法のメカニズムの検討と確立すべく以下の研究を行った。 当該年度は,本抗菌光線力学療法において光増感物質として用いる歯垢染色液の色素と照射に用いる光の波長の検討を行った。 まず,紫外可視光分光光度計を用い,歯垢染色液に用いられる各種色素の吸光スペクトル波長の測定を行った。この結果,歯垢染色液色素のうち赤色を用いたものは,ピークを 500 nm 前後としたスペクトル波長が認められた。 次に in vitro X-band electron spin resonance (ESR; 電子スピン共鳴) 法を用い,歯垢染色液色素の吸光スペクトルをもつ波長の Light emitting diode (LED) を照射し,これら色素が光励起することにより産生される活性酸素種の探索と同定を行った。この結果,至適光源は緑色光であることが判明した。この緑色 LED を用い照射強度および歯垢染色液の色素濃度変化に伴う活性酸素種産生の変化を in vitro X-band ESR 法を用いて検討した。今回産生された活性酸素種は一重項酸素であり,スーパーオキシドやヒドロキシラジカルは産生されないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は「歯垢染色液色素を光励起し生成する活性酸素種産生至適波長の探索」として歯垢染色液色素の吸収波長計測し同定し,同定された波長による蛍光波長同定することが目標であった。 よって歯垢染色液色素の吸光波長スペクトル同定および活性酸素種の同定,また照射出力と歯垢染色液濃度による活性酸素種量の変化を検討を行ったことにより概ね順調に進呈していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,2019 年度は Candida albicans の歯垢染色液色素による染色に対し,照射機にて光励起を施した影響を生化学的検討にて行う。この検討には生存増殖活性を始めとした殺菌に対する検討と活性酸素種による酸化ストレスの検討を含むこととする。 2020 年度は2019 年度の結果を踏まえ,in vivo カンジダ症モデルマウスを作成し,感染モデルを用いて同様の検討を行い,in vivo における抗菌光線力学療法の殺菌およびメカニズムの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)当初よりも旅費,学会費の削減ができたこと,また,消耗品においては当該年度に一部購入を行わなかったため,使用予定額と実際の使用額に差額が生じた。
(使用計画)当該年度に購入を行わなかった消耗品の購入を中心とし繰越金は使用する予定である。また,次年度経費に関しては当初の予定通りの使用計画である。
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Research Products
(4 results)