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2019 Fiscal Year Research-status Report

口腔細菌による動脈硬化発症における先天性免疫因子gp-340の機能解析

Research Project

Project/Area Number 18K09915
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

於保 孝彦  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50160940)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 長田 恵美  鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (00304816)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
KeywordsStreptococcus mutans / ヒト動脈内皮細胞 / gp-340 / 菌体付着 / サイトカイン
Outline of Annual Research Achievements

昨年度に引き続き、これまでに動脈硬化病巣から検出されている口腔バイオフィルム細菌の一種であるStreptococcus mutansとヒト動脈内皮細胞HAECとの共培養を行い、以下の成果を得た。また、HAECについては、siRNAを用いてgp-340の発現を抑制したヒト動脈内皮細胞HAECgp-340(-)と、対照としてのヒト動脈内皮細胞HAECgp-340(+)を用いた。
1. HAECgp-340(+)およびHAECgp-340(-)へのS. mutansの付着を2つの方法で調べた。まず、あらかじめHAECにサイトカラシンDを作用させ菌の侵入を抑制したうえで共培養を行い、HAEC表面に付着した菌を回収して培養後、コロニー数を調べた。その結果、HAECgp-340(+)に比べてHAECgp-340(-)へは、約2倍量の菌が付着することが認められた。次に、HAECと菌体を共培養後、HAEC表面に付着した菌を抗S. mutans PAc抗体で検出し蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、HAECgp-340(+)に比べてHAECgp-340(-)へは、より多くの菌体が付着することが認められた。
2.HAECgp-340(+)およびHAECgp-340(-)をS. mutansと共培養し、培地上清中に含まれる炎症性サイトカインIL-6、IL-8、MCP-1をELISA法で定量した。その結果、いずれのサイトカインもHAECgp-340(+)に比べてHAECgp-340(-)からより多くに産生されることが認められた。
3.HAECgp-340(-)へのS. mutansの侵入に及ぼすgp-340の抑制効果に関して、対照として唾液から精製したamylaseの効果を調べたところ、侵入には影響を及ぼさないことが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は、計画に沿って概ね順調に実験を行うことができた。
S. mutansのHAECへの付着に及ぼすgp-340 の作用を確認したところ、培養法および蛍光顕微鏡観察のいずれでも、あらかじめgp-340の産生を抑制したHAECへは対照に比してより多くの菌体が付着することを確認した。この結果はS. mutans刺激によってHAECから産生されるgp-340は、菌体付着抑制効果を持つことを示している。
次に、HAECをS. mutansで刺激しながら共培養した際の培地上清へのサイトカインの産生を調べたところ、あらかじめgp-340の産生を抑制したHAECからは対照に比してより多くのサイトカインの産生が認められた。この結果はgp-340の産生抑制により、より多くの菌体がHAECに付着してサイトカインの産生へと繋がったと考えられる。
さらに、昨年度に実施したS. mutansのHAECへの侵入に及ぼすgp-340 の抑制作用に関して、対照としての唾液amylaseの効果を調べたところ、侵入には影響を及ぼさないことが確認された。この結果はgp-340のHAECへの菌体付着抑制効果が特異的であることを裏付けるものである。
これらの理由から、進捗状況としてはおおむね順調であり、次年度に向けて実験を進めて行く予定である。

Strategy for Future Research Activity

まず、HAECgp-340(+)およびHAECgp-340(-)をS. mutansと共培養し、HAEC表面に誘導される細胞接着因子をcell ELISA法で定量する。
次にHAECからのgp-340誘導に関与するS. mutans菌体成分の同定に着手する。S. mutans菌体を超音波破砕し、カラムクロマトグラフィー法で分画した各画分をHAECに作用させ、gp-340を誘導する能力をもつ画分をスクリーニングする。この画分から目的の因子を精製し、N末端アミノ酸分析、質量分析等を駆使して、菌体成分の同定を行う。
さらに精製病原因子をHAECに作用させ、パターン認識受容体の発現(mRNAおよびタンパクレベル)を調べる。また、シグナル伝達物質阻害剤を用いてgp-340の誘導機序を調べる。
以上の結果を取りまとめて成果の発表を行う。

Causes of Carryover

当初計画で実施する予定であったS. mutans刺激によるHAEC表面への細胞接着因子の誘導にgp-340が及ぼす影響を評価できなかった。当該研究に用いる予定の消耗品費を使用しなかったため、次年度使用額が生じることとなった。
令和2年度は、gp-340の産生がS. mutans刺激によるHAEC表面への細胞接着因子の誘導に及ぼす影響を確認するため、この費用を使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] DMBT1 involvement in the human aortic endothelial cell response to Streptococcus mutans2019

    • Author(s)
      Oho Takahiko、Nagata Emi
    • Journal Title

      Molecular Oral Microbiology

      Volume: 34 Pages: 108~117

    • DOI

      10.1111/omi.12257

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Streptococcus mutansによるヒト動脈内皮細胞の炎症誘導におけるDMBT1の機能2019

    • Author(s)
      於保孝彦、長田恵美
    • Organizer
      第68回日本口腔衛生学会総会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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