2018 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄由来膵臓β細胞による糖尿病治療のための前臨床研究
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18K09924
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高野 りや 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (80332328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医療 / 糖尿病 / 歯髄幹細胞 / 膵臓β細胞 / 硫化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病は様々な要因により膵臓の内分泌組織であるランゲルハンス島の中のインスリン産生細胞であるβ細胞が障害を受けることによって生じる。β細胞の多くの障害は不可逆的であることから、糖尿病の完治は難しく、インスリンの補充等の対処療法に頼るしかない。近年、幹細胞研究の飛躍的な進歩により、in vivoあるいはin vitroで幹細胞から分化誘導させ再生膵臓を作成する再生医療が注目されている。このような背景から我々は、歯科領域では廃棄物となる抜歯直後の乳歯および第3大臼歯の歯髄より得た間葉系幹細胞に対し、in vitroで分化誘導した膵臓β細胞の特徴をもつヒト膵臓β細胞様細胞を得ることにより、これまでにない糖尿病の細胞治療効果を証明することを目的とした。 我々の用いてきた膵臓分化プロトコルでは、磁気を用いた細胞分離法により、細胞表面マーカーであるCD117陽性細胞をより分け、分化能の高い細胞集団を高密度に得ることができた。また分化段階の細胞を微量硫化水素ガスに曝露することにより、より成熟した膵臓様細胞の再生に成功した。さらに本研究においては、より分化成熟した膵臓β細胞様細胞を安定かつ大量に投与することを目指し、細胞の培養法を従来の単層培養から3次元培養に切り替え、より有効な膵臓β細胞様細胞の細胞塊を得ることに成功した。これらの細胞塊は膵臓特異的マーカーであるhuman c peptide 、human glucagon 、human somatostatinを高発現し、膵島様に分化したことを確認した。 以上のことから、本研究で得られた歯髄細胞由来再生膵臓は再生医療のソースとなる細胞としてが有効であり、これまでにない糖尿病の細胞治療効果を生み出すと考えている。
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