2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒドロキサム酸系阻害剤による破骨細胞分化促進とその分子機構の解明
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18K09928
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 英資 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50454559)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞分化における細胞表面分子の変化として、破骨細胞分化に必須の受容体であるRANKを酵素的に分解して分化を抑制する機構が報告されている。われわれは、RANKのタンパク質分解酵素による感受性を検討するために、トリプシンで破骨細胞前駆細胞を処理したところ、 RANKはその他の細胞表面分子(CD18等)よりもトリプシンによる分解作用を受けやすいことを確認した。また、トリプシン前処理された破骨細胞前駆細胞には RANKLが結合しにくくなることを確認した。この破骨細胞前駆細胞は予想通り破骨細胞分化が起こりにくいことを確認した。 破骨細胞前駆細胞間の融合前の接着に注目して実験を進めた。RAW264.7細胞を低細胞接着性基質上で培養することによりスフェロイド上の集合体を作成し、破骨細胞分化を検討した。RANKLを添加することによってRAW264.7細胞の集合体は添加しない群と比較して有意に大きくなった。非接着状態で培養を継続しても破骨細胞分化は見られなかった。そこで集合体を接着性基質上での培養に途中から変更したところ、巨大な破骨細胞の形成が見られた。RANKL非添加群では破骨細胞分化は確認できなかった。さらにNFATc1の発現をウエスタンブロット法で確認したところ、通常培養のRAW264.7細胞と発現量の差はなかったが、分子量が小さくなっていた。NFATc1の脱リン酸化が生じている可能性を検討するために、FK506存在下で培養したところ、分子量の低下が見られなくなった。以上の結果から、細胞間の結合とその酵素的分解が破骨細胞分化に影響を及ぼしている可能性を現在、検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞接着分子が破骨細胞分化に及ぼす影響は知られているが、細胞間接着と細胞と基質間接着で異なる影響があるという新しい知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞非接着性基質上での培養が破骨細胞分化、NFATc1の脱リン酸化を促進する機構を解明する。
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Causes of Carryover |
試薬やその他消耗品の値引きなどで10%強の次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、細胞間の接着と細胞接着基質との接着が破骨細胞分化に及ぼす影響と、ヒドロキサム酸系阻害剤による破骨細胞分化促進作用との関係を検討する。
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