2019 Fiscal Year Research-status Report
NDBからの糖尿病生活習慣改善因子の因果関係の可視化と医療費シミュレーション
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18K09934
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 克彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 国保レセプト / ベイジアンネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国民医療費は増加傾向にある。特に、生活習慣病と関連の深い2型糖尿病は合併症の誘発を引き起こしやすく、罹患した患者は医療費が高額になることが予想される。そこで今年度は地域における糖尿病患者の生活習慣の改善への効果的な支援を行うこと、またその支援の効果指標の提案を目的として、糖尿病患者の「生活習慣の改善意思」に影響を与える因子および地域性の特徴を可視化し、生活習慣の改善によって期待される行動変容の効果について検討した。対象は、北海道I市の2013 年度国保レセプトデータの傷病名「2 型糖尿病」を有する患者ID と郵便番号、および特定健診データ項目を用いて地域別ベイジアンネットワークモデルを構築した。都市部のモデルでは「生活習慣の改善意思」に対して、30 分以上の運動習慣とBMI が直接的な影響を与えており、地方部のモデルでは30 分以上の運動習慣と20 歳からの体重変化、性別、飲酒習慣が直接的な影響を与えていることが示された。また,生活習慣の改善によって都市部と地方部共に、1 年間の体重に対して最も影響を与える可能性が示唆された。今後、モデルの妥当性評価を行うことによって、地域性を考慮した健康増進施策の立案および実施への応用が期待できると考えられる。 更に、この研究を発展させ、マルコフモデルを用いた糖尿病における血糖値コントロール自己管理遠隔アプロケーションによる費用効果分析を試みた。アプリを利用する確率(以下,利用率)を10%,15%,20%として医療費の感度分析を行った.次にアプリによって軽減された医療費の月額(3割負担を想定)を算出した.また,年間の医療費の内,総医療費に占める割合が最も大きい患者状態を特定して利用率毎の医療費の割合を算出しし、モデル全体の45年間の医療費の比較を行いアプリによる低減される医療費の割合を算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はNDBを活用して糖尿病生活習慣改善因子の因果関係の可視化を行うとともに、医療費シミュレーションによる医療費の適正化の可能性を探ることにある。今年度、昨年度は間に合わなかったレセプトデータを活用して、北海道I市での糖尿病を対象とした地域ベイジアンネットワークによる因果関係の可視化に加え、影響を与える要因の抽出を行った。本年度は北海道I市の他M市も含めて、NDBの利用をもとに潜在クラス分析による医療費分析およびシミュレーションを行う。 また、マルコフモデルを用いた糖尿病における血糖値コントロール自己管理遠隔アプロケーションによる費用効果分析についても研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はNDBの利用をもとにベイジアンネットワークによる生活習慣改善因子の因果関係の可視化および医療費シミュレーションを行う。また、地図情報システムにより、地域性を考慮した医療費分布の可視化を試みる。更に、今年度は十分に分析できなかった潜在クラス分析を用いて、糖尿病合併症による特徴抽出と医療費分析を試みる予定である。 更にこれらの研究を発展させ、マルコフモデルを用いた糖尿病における血糖値コントロール自己管理遠隔アプロケーションによる費用効果分析を推進する。
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Causes of Carryover |
昨年度、当初、国際学会での発表を予定していたが、学内行事と学会が重なり、国際学会に参加することができなかった。今年度は、最終年度であることから追加の数理分析を進め、英文論文の執筆を計画的に行う。
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