2019 Fiscal Year Research-status Report
Acinetobacter属菌に対する医療関連感染対策の新戦略
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18K09935
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 史郎 東北大学, 医学系研究科, 客員教授 (40614491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80433712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Acinetobacter / 空気感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
アシネトバクター属菌は医療関連感染の原因菌として知られているが、一旦、環境を汚染(環境中に定着した場合)した場合には、集団発生の原因となることが知られており、そのアシネトバクター属菌が薬剤耐性であった場合には治療法に限界が生じることから、アシネトバクター属菌の環境への定着がどこから起きているのかに関しては明確な答えがない状況であった。アシネトバクター属菌は湿潤環境中から分離されることが知られている一方で、乾燥した環境においても長期間生存していることも知られている。このように環境中のアシネトバクター属菌が院内感染の原因菌となる可能性がある背景から、環境中のアシネトバクター属菌を分離し、分離場所におけるアシネトバクター属菌が空気中に舞っている可能性を考慮し、空気中のアシネトバクター属菌を分離する実験系を設定した。 まず、アシネトバクター属菌は日和見感染的な要素を持っていることから、日和見感染を起こす可能性が比較的高い、高齢者が集団生活している高齢者介護施設における環境培養検査を行った。浴室、汚物処理室、トイレ、水回りなどから合計384検体を採取し、分離培養を行った。 アシネトバクター属菌は浴室、テーブル表面、汚物室、トイレなどから分離された。なかでも分離頻度が高かったのは浴室であり、湿潤環境からの分離であった。一方、乾燥した環境からの分離もあった。この結果を受け、アシネトバクター属菌が分離されたすべての環境における空気中からエアーサンプリングによるアシネトバクター属菌の分離を次年度は予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
環境からのアシネトバクター属菌を分離するのに時間がかかったことから、空気サンプリングを行う場所の選定に時間がかかった状況である
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Strategy for Future Research Activity |
環境中から分離されたアシネトバクター属菌が、空気中から分離されるアシネトバクター属菌と同一であることを証明し、空気感染経路のエビデンスを構築する。 エアーサンプリング検体からアシネトバクター属菌を分離し、アシネトバクター属菌の詳細な菌種同定を行う予定である。また、パルスフィールド電気泳動法にて相同性を確認し、そのうえで、全ゲノムシークエンス解析により、空気感染を起こし得る遺伝子の特定を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
環境からのアシネトバクター属菌を分離するのに時間がかかったことから、実験計画に若干の変更が生じているため、次年度使用額が生じた。次年度に遺伝子解析などに使用予定である。
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