2022 Fiscal Year Annual Research Report
A new strategy for the control of healthcare-associated infections against Acinetobacter spp.
Project/Area Number |
18K09935
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遠藤 史郎 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40614491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80433712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Acinetobacter / エアーサンプリング / MRSA |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までに環境中より培養検査を行い、菌の同定を行った。その結果をもとに、Acinetobacter属の検出があった環境(トイレ、水回り、風呂場、汚物室など)を中心にエアーサンプラー(MERCK, MAS-100NT)を用いて、空気中に漂っているAcinetobacter属の分離を試みた。測定ポイントは床上50cm~100cmとし、500L/回でのサンプリング条件とし、TSA培地を使用した。計10カ所に対して、異なるサンプリング日程でエアーサンプリングを4回実施した。サンプリング後、35℃、2日間の好気培養を行った。すべてのエアーサンプリング場所においてAcinetobacter属の分離は見られなかった。しかしながら、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のエアーサンプリングが得られた。得られた場所は、トイレ、風呂場、ホールであった。医療関連施設において施設内伝播する代表的な薬剤耐性菌のMRSAを環境表面ではなく、エアーサンプリングにて分離することができたことは今後のMRSAを含めた薬剤耐性菌の感染対策に新しい知見となりうる。さらにカルバペネム系薬に自然耐性を有することが知られているStenotrophomonas maltophiliaや医療関連施設内で施設内感染として問題となるP.aeruginosaもエアーサンプリング検体から分離された。MRSA、S. maltophilia、P.aeruginosaは接触感染対策を中心にした感染対策が行われることが通常であり、これらの菌が分離された場合に、換気に注意をすることはなかった。新型コロナウイルス感染症対策において、換気の重要性が認識されているが、医療関連施設における薬剤耐性菌の感染対策においても換気の必要性が示唆される結果となった。一方、エアーサンプリングにおいて得られたMRSA、S. maltophilia、P.aeruginosaの菌量はいずれも1~9 colony forming unitであった。菌量と感染拡大との相関に関しては今後の課題である。
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