2019 Fiscal Year Research-status Report
がん遺伝子パネル検査の実装が患者・市民に及ぼす倫理的・法的・社会的課題の検討
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18K09940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 亜貴子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (00568678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん遺伝子パネル検査 / がんゲノム医療 / リテラシー / ELSI |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2018年に実施したがん患者、がん患者の家族、市民を対象としたインターネット調査(量的調査)で得られたデータをさらに解析し、がん遺伝子パネル検査への態度と、性別・年齢や社会経済的要因、遺伝学に関するリテラシーなどの関連について検討した。その結果について、第13回国際ゲノム会議においてポスター発表を行った。 さらに、2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険適用されたことを受けて、2018年に実施した調査の回答者を対象として、2019年8月にがんゲノム医療やがん遺伝子パネル検査に関するインターネット調査を実施した。その結果、2019年度の調査においても、多くの人ががん遺伝子パネル検査のベネフィットを高く評価していることや、検査費用の高さについて懸念していることが明らかとなり、全体的な傾向は2018年の調査結果とあまり変わらないことが確認された。また、がん遺伝子パネル検査の認知度が低いこと、関連する遺伝学用語の認知度が低いこと、がん遺伝子パネル検査に関して過去1年で特に情報を得ていない人が7割を超えることも明らかとなり、がんゲノム医療やがん遺伝子パネル検査に関する情報提供のニーズの把握とニーズを踏まえた情報提供体制の構築が喫緊の課題と考えられた。これらの結果をもとに、フォーカスグループインタビュー調査のテーマを抽出し、インタビューガイドを作成し、倫理審査委員会の承認を得た後、研究参加者のリクルートのための予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度内にフォーカスグループインタビュー調査を実施する予定で準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、インタビュー調査の実施を延期することになったため、当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度と2019年度に実施したインターネット調査(量的調査)のデータについて、引き続き分析を行い、回答者ごとの態度の変化等についても検討する。文献調査や量的調査の結果をもとに、がんゲノム医療に対する態度や情報提供のニーズ等について、フォーカスグループインタビュー等の質的調査を実施し、深く掘り下げて分析を行う。量的調査と質的調査で得られた結果を統合して分析し、がんゲノム医療を適切に推進するために必要な社会的基盤等について提言をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響でフォーカスグループインタビュー調査の実施を延期することになったため、次年度使用額が生じた。2020年度に新型コロナウイルス感染症等に関する状況を考慮して実施できる調査に使用する予定である。
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Remarks |
(1)の正式なタイトルは、下記の通りです。 がん遺伝子パネル検査に寄せる期待と懸念とは? -がん患者・一般市民を対象としたインターネット調査の結果より-
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