2020 Fiscal Year Research-status Report
がん遺伝子パネル検査の実装が患者・市民に及ぼす倫理的・法的・社会的課題の検討
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18K09940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 亜貴子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (00568678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん遺伝子パネル検査 / がんゲノム医療 / リテラシー / ELSI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん患者や、がん患者の家族、市民におけるがんゲノム医療やがん遺伝子パネル検査に関する懸念や期待等を明らかにし、今後、がんゲノム医療を適切に推進するために必要な社会的基盤等について検討することを目的としている。 2020年度は、2018年と2019年に実施したがん患者、がん患者の家族、市民を対象としたインターネット調査で得られたデータについて、がん遺伝子パネル検査に関するベネフィットや懸念、がんやがん遺伝子パネル検査の情報源などに関して、がん遺伝子パネル検査の保険適用前後での変化の有無などについて引き続き分析を行い、その結果を日本人類遺伝学会第65回大会で報告した。また、がんゲノム医療やがんゲノム遺伝子パネル検査に関して、文献調査の実施や学術集会への参加等により情報収集を行った。がんゲノム情報管理センター(C-CAT)へのがん遺伝子パネル検査に関するデータの登録および、登録したデータを学術研究や医薬品などの開発目的で利用するために第三者に提供すること(二次利用)について同意した患者の割合は99%と非常に高いことが報告されていた。これまで実施した調査結果から、がん患者やがん患者の家族は、がんゲノム医療の普及に高い期待を持っているが、データベースに登録された検査結果の適切な使用への懸念も持っていることが明らかとなっており、今後開始されるC-CATに登録されたデータの二次利用に関する情報公開のニーズ等を明らかにし、二次利用に関する情報公開のあり方について検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点から、実施予定であったフォーカスグループインタビュー調査の実施を延期したため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の感染予防に配慮した上で、これまでに実施した調査結果をもとにフォーカスグループインタビュー調査を実施し、がんゲノム医療に関する情報提供のニーズ等について検討する。また、量的調査と質的調査で得られた結果を統合して分析し、これまでの成果のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、参加予定であった学会がオンライン開催に変更されたことや、フォーカスグループインタビュー調査が実施できなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。2021年度に実施するフォーカスグループインタビュー調査に使用する予定である。
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