2021 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between Mental health problems and cognitive functions of victims 27yeas after the Volcanicdisasters of Mt.Unzen Fugendake.
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18K09946
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木下 裕久 長崎大学, 保健センター, 准教授 (10380883)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害精神医学 / 噴火災害 / PTSD(心的外傷後ストレス障害) / PTG(心的外傷後成長) / うつ病 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1991年6月の雲仙普賢岳の大火砕流から、今年で31年が経過する。長崎大学精神神経科学教室は、1991年から、地元の自治体ならびに保健所と協力して、被災直後から、1996年6月に噴火終息宣言が出るまでの間、被災住民の精神保健的な支援活動を行った。そして追跡調査を継続してきた。申請者は2003年からこの調査に関わり、2005年に災害後15年目の調査を行った。さらに2015年に25年目の調査を行った。これまでの調査では、Weissら(1997)らが開発した「出来事インパクトスケール改訂版(Impact of Event Scale-Revised:IES-R)」 により測定すると、25点以上の高得点者の割合が、13年目では17%であり、この調査の詳細は、申請者が2012年に論文として発表した。また15年目では10.0%と年々低下する傾向があり、25年目にも同様の傾向が認められた。この結果は、災害から長期経過してもPTSD症状を有する方が存在し、経時的改善がある程度で止まることを示す。その一因として、被災者の高齢化による身体機能の低下や認知機能の低下があるのではないかと考える。今回は、高齢化による認知機能低下などの影響が被災地域住民の現在の精神的問題にどう影響するか明らかにする。そして現在の認知機能に影響する要因を検証し、災害支援における中長期的評価と援助方法を検討したい。従来は、地域の健康診断会場もしくは、地域の公民会での自治会活動に参加中の住民に対して、アンケートを依頼する方式であったが、今回は、新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、従来の方式での調査は、困難な状況である。地域住民調査から施設調査へ計画を変更し、研究計画書を作成し、倫理委員会への提出と承認を受けたが、一昨年、昨年と予定どおりに計画を実施することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年は、地域住民対象の調査から、施設入所者や入院患者へ対象を絞った調査を試みたが、これも、新型コロナウィルスの感染拡大により、施設、病院での面会制限が続き、実地困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、研究計画を再延長し、コロナウィルスの感染拡大は以前続いているが、ワクチンも普及し、少しずつ以前の社会活動が戻りつつある現状を踏まえ、研究計画を作り直し、地域住民の安全とプライバシーに配慮したかたちで、噴火災害から、長期間経過した、島原地区と県内の他地域での、自然災害への意識調査と、被災体験の有無と高齢者の認知機能との関連を調査する方針である。
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Causes of Carryover |
一昨年、昨年と新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、地域調査と施設・病院での調査のどちらも遂行できなかった。このため、昨年、今年と予算の持ち越しを申請した。昨年は、実際の予算の執行はなかった。今年度は、調査計画を見直し、WEB調査もしくは、コロナウィルスの完全減少のタイミングを計った地域調査の実施を検討している。
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