2019 Fiscal Year Research-status Report
School health examination system construction of education medical cooperation as the school non-attendance prevention for pubertal psychosomatic disease
Project/Area Number |
18K09962
|
Research Institution | National Hospital Organization Minami Wakayama Medical Center |
Principal Investigator |
土生川 千珠 独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 医長 (20258015)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 憲司 独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 研究員 (00728850)
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258454)
村上 佳津美 独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 研究員 (50219888)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 思春期 / 学校健診 / 心身症 / ヘルスプロモーション / 起立性調節障害 / QTA30 / 睡眠 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、和歌山県田辺市・上富田町・白浜町在住の小学5,6年生および中学1,2,3年生約3413名を対象に、心身症の問診票であるQTA30を使用した学校健診を実施した。平成30年度の小学6年生および中学3年生約500名の対象者と併せて、健診結果を全員に送付し、心身症のハイリスク群には、受診を促した。現在、受診該当者は、医療機関に通院し、子どものこころ専門医による心身症に対する加療中であり、経過中のQTA30 の経過を追跡している。 学校健診の結果からは、心身症ハイリスク群は、共通した生活習慣が検出された。友人関係で悩みを抱え、就寝時刻の遅延があり、不安症状の増大が身体症状を引き起こし、欠席日数の増加が不登校につながっているという結果を得た。さらに、欠席が全くない子供でも、心身症ハイリスク群と同じ生活習慣の子どもは、心身症を発症しやすい状態であった。つまり、本研究の思春期の学校健診は、不登校予備群の検出が可能であり、教育者と医療者が、早期から連携すると不登校を予防できることを示唆した結果を得た。本研究の結果を論文化し、現段階では、1編は、掲載され、1編は、受理され掲載予定である。(Utility of the QTA30 in a school medical checkup for adolescent students, Pediatrics international in press) 令和2年度は、大阪地区で、私立中学校と中高一貫校の学校健診を実施する予定である。 加えて、九州地区、東北地区、大阪地区、和歌山地区において、心身症で、心身症外来に既に通院中および他の慢性疾患で通院中の学童の治療経過中のQTA30の推移調査を行い、学校健診の受診該当者とのQTA30の推移比較を行う。令和2年度は、3か年研究の総括として、研究成果を学会において発表と論文投稿を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和歌山地区における3か年の学校健診の実施人数が4000人まで増加できており、本年度は大阪地区の学校健診も実施する。大阪地区では、和歌山地区の育成環境とは異なる中高一貫校で学校健診を行う予定である。 実施した学校健診から、心身症ハイリスク群の生活習慣の特性が検出された。心身症ハイリスク群は、友人関係で悩みを抱え、就寝時刻の遅延があり、不安症状の増大が身体症状を引き起こし、欠席日数が増加し、不登校につながっているという結果を得た。さらに、最近の欠席がない子供でも、心身症ハイリスク群の生活習慣を持つ子どもは、心身症を発症しやすい状態であるという結果を得た。本結果は、新たな意義ある知見であり、本学校健診は、思春期の子どもの潜在的な心理的ストレスを検出できていた。つまり、思春期の学校健診は、不登校予備群の検出が可能であり、早期から教育機関と医療機関がかかわることで不登校を予防できるという思春期の学校健診の高い有用性を示す結果を得た。 現在、学校健診で検出された心身症ハイリスク群は、通院加療中であり、途中経過であるが、早期から潜在性の心身症ハイリスク予備群に介入することで、QTA30の得点も健常域に低下していることがわかってきている。 成果をまとめた論文も2編受理されており、1編は投稿中、2編は執筆予定である。 さらに、多施設における通院中の心身症症例の追跡症例数も増加しており、1年間の追跡中である。以上より、3か年の研究目標を達成できる状態にあると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題である「不登校予防のための思春期のこころの学校健診」の有用性は、現段階までに検証できたと考えている。学校健診を実施した和歌山地区においては、子どものこころの専門医が勤務する医療機関と教育機関が連携し、その後の受診行動も順調に実施できた。大阪地区においても教育機関と医療機関が連携し、学校健診を実施する予定である。 本学校健診を実施し、心身症ハイリスク予備群に該当した受診対象者の養育者は、「こころの学校健診を受けてよかった。子どもが自分のことを何も言わないのでわからなかった。」との声が多く、受診中の子どものQTA30の追跡では、点数が健常域まで低下しているケースが多く認められている。 一方、本健診を実施した後の心身症のハイリスク群の受診先の医療機関の選定が課題として表面化した。子どものこころの専門医が勤務する医療機関と教育機関との連携は順調であるが、専門医が勤務する医療機関がない地区においては、課題が検出された。学校医は、小児科医ではなく、内科医や外科医等専門外の医師が担当していることも多く、思春期のこころを診察することが困難である地区が少なからずある。本学校健診を日本における共通の学校健診として実施するためには、子どものこころの専門医の育成や小児心身症への理解の普及および、スクールカウンセラーへの協力要請も必要であり、実動するためには、日本医師会を含めた行政の協力は必須であると考えている。今後、本健診後に受診できる医療機関の協力を得られるようなシステムを考え、行政のご理解とご協力を頂けるような取り組みを考えていきたい。 本研究は、本年度で終了となるが、次年度は、受診対象者の受け入れ先の医療機関が抱える課題を解決できるシステムを構築したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
購入予定の血圧計の販売が、遅延したため。
|