2020 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on surrogate decision-making in Japanese medical practice
Project/Area Number |
18K09963
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 篤 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80283612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾藤 誠司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (60373437)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 医療倫理 / 代理意思決定 / 文化 / 倫理原則 / 判断根拠 / ACP / 大規模調査 / 代理意思決定者 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代日本の医療現場における代理意思決定の実態を質的研究および量的研究によって明らかにした。質的研究の成果は英文国際論文に掲載された(BMC Med Ethics 22, 5 (2021).)。同研究では次のように結論した。本邦では生命に関わる重大な内容に対する代理意思決定の判断根拠として、患者の選好だけではなく、患者の利益、代理意思決定者の選好を判断根拠として代理意思決定が行われている実態があることが示唆された。代理意思決定者の選好の中には、介護負担や代理意思決定者の死生観や価値観などが含まれていた。本邦では今後アドバンス・ケア・プラニング(ACP)が増加する可能性がある。患者の自律性を尊重する上では貴重な情報源となり有益であろ。ただし、本邦においてこれまでの文化や社会的な背景を踏まえると、それらを代理意思決定の判断根拠に適切に反映できるかどうかはわからない。自律尊重の原則や米国由来の代理意思決定の原則のみに基づく判断を求めることは望ましくないかもしれない。今後本邦において、より多様な視点で判断根拠を検討しようとする姿勢が求められ、そのような姿勢で代理意思決定を行っていくことは広く許容されて良いと考えられた。全国の1000人の日本人を対象にした大規模横断調査は現在、英文国際雑誌で査読中である。同研究では、質的研究での仮説が統計的に裏付けられた。結果として、代理意思決定者は、子供世代、特に長男がその役割を果たすことが多い、決定プロセスの特徴として、面談回数や多職種の関わりが少ない、複数の判断根拠を基に代理意思決定がなされ、患者の最善に関連する判断根拠が高頻度に含まれるという特徴が挙げられた。頻度から推測すると、患者の最善に関連する項目や代理意思決定者の選好については十分意識されているが、自律尊重原則に照らした検討が十分なされていないかもしれないことが示唆された。
|