2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconstraction of EHR System for Quality of Health Care
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18K09964
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大原 信 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80194273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療の質 / 量的評価 / 診療録記載量 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、構築したシステムを利用して、今年度は、電子カルテからの抽出データの用いた解析を行っている。 具体的には筑波大学附属病院の統合医療情報システム(電子カルテ)の2019年4月から6月までの診療録を対象として、診療録のプログレスノート(医師の記載部分)の記録を約62万recordを抽出し分析を行った。まず抽出データの中から当該期間の入院患者記録のみ330515recordをさらに抽出し、改行記号などのデータをクリーニングを行ったのち、データベース化して解析を実施している。現在、診療科別、診療録記載回数、記載日数、一回の記載量(Subjective, Objective, Assessment, Plan の記載項目別)などを 内科系診療科、外科系診療科、その他の診療科のカテゴリー別の比較を行った。 その結果、重症系病棟に移動した期間や部分的にクリニカルパスが適応されている期間を配慮する必要があること、休日で診療体制が異なる土曜日・日曜日・祝日の扱いを考慮する必要があることなど、細かな分析上の配慮点はあるものの、これまでのところ、記載間隔と記載頻度と記載量に、内科系診療科、外科系診療科ごと、あるいは診療科別にそれぞれ特有の傾向がみられることが見出された。このことは、電子カルテ記載の直接的な量的分析が、これまでの目視による診療録監査とは別の視点で有用であることを示し、これにより医療の質を評価する指標をほど自動化された形で提示しうると考える。 次年度は、より精緻で多角的な分析を行うとともに、研究対象期間を広げて、季節変動の有無などを検討するとともに、この仕組みを電子カルテに実装し、リアルタイムでの医療の質の評価ができる電子カルテ構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発・構築したデータ抽出システムを用いて、実データの抽出・分析という研究計画で示した予定通りの段階に進むことが出来、データのクリーニングや抽出条件などいくつかの課題があるものの、診療録の記載状況や量を可視化することが出来、さらにある程度の新知見を得た。 診療科別あるいは、内科系と外科系別の違いは、これまで医療者には、日々の診療の中で感覚的に感じていた部分が主であるが、実診療記録を用いた客観的なデータ分析は、従来の紙媒体診療記録では決してなし得ない、(診療記録が電子化されてる状況でのみ可能な)知見であると考える。 残る今年度から次年度前半にかけて、研究対象期間をさらに拡大して、より精緻な分析、ならびに並行して実施した「診療録の質的監査」結果とも突合する。 また、分析にかかる時間も約30万recordを対象としているが、実用に耐える速度であることも確認でき、電子カルテへの実装という目的に一定の目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の予定通り次年度は、開発したツールのさらなる機能強化を行う。さらにこの機能を稼働している筑波大学附属病院の電子カルテに実装することを目指す。 そのうえで、分析期間の拡大を行い、電子保存された診療データを医療の質の向上という視点でさらに分析を加える。 現在の診療録記載方法として、主流である「目的志向型診療録記載」において、実際に計測分析して分かった記載量の少ない部分についての改良を試みる。問題点リストとの連携記載、記載の修正訂正履歴の可視化、SOAPのカテゴリーより、より構造化した記載項目の設定など、電子化された記録の特性を生かし、より「電子カルテ」に適合した診療録記載の方法を提示したい。 さらに、研究者が参加している、この研究実施中に大きな問題となった、医用画像検査レポートの所見見逃し・未確認問題に対する厚生科学研究班で指摘された電子カルテの問題点・改善点にも留意し、画像レポートの重要所見が電子カルテに十分反映されているか、いかに治療計画に反映されているかの点にも着目して、総合的な医療の質に資する電子カルテの再構築を行いたい。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Recommended configuration for personal health records by standardized data item sets for diabetes mellitus and associated chronic diseases: A report from Collaborative Initiative by six Japanese Associations2019
Author(s)
Nakashima Naoki, Noda Mitsuhiko, Ueki Kohjiro, Koga Tatsuhiko, Hayashi Michio, Yamazaki Katsuya,Nakagami Tomoko, Ohara Makoto, Gochi Akira, Matsumura Yasushi, Kimura Michio, Ohe Kazuhiko, Kang Dongchon, Toya Yoshiyuki,Yamagata Kunihiro,Yokote Koutaro, Ikeda Shunya, Mitsutake Naohiro, Yamamoto Ryuichi, Tanizawa Yukio
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Journal Title
Journal of diabetes investigation
Volume: 10
Pages: 868-875
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