小児がん患者に対する陽子線治療の長期的な合併症予防効果

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K09965
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 山口 玲子 (中嶋玲子) 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 特任助教 (70755529)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 小児がん / 陽子線治療 / 晩期合併症 / QOL / 小児がん経験者

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、陽子線治療が、X線照射による治療と比べて、小児がん患者の将来的な健康や、QOLを高めるかどうかを明らかにすることである。そのため、陽子線治療をうけた小児がん経験者と、従来のX線による治療をうけた小児がん経験者の、身体的・心理社会的状態のを調査を計画した。しかしながら、対象者をピックアップする段階で、X線照射をうけた群と陽子線治療をうけた群のみの比較では、N数が小さくなり、統計学的に有意な結果を出すことが難しいことが判明した。そのため、調査対象者を、陽子線治療・X線治療を受けた群のみでなく、筑波大学附属病院で小児がんの治療をうけた小児がん経験者全体に広げることを決定した。調査計画の決定にあたり、筑波大学附属病院の小児科医、小児血液腫瘍専門医、小児内分泌専門医、陽子線腫瘍科医師、陽子線腫瘍科看護師、臨床心理士とミーティングを持ち、意見交換を行った。再発や合併症の有無のみならず、QOLや病名の理解度、性腺機能に関する質問、容姿に関する自己イメージに関する質問、健康意識に関する質問も、調査に含めた。生殖機能に関する質問項目に対して、泌尿器科医、産婦人科医に意見を聞いた。対象者1122名のうち、2018年10月時点で、診断後5年以上して経過している800名のうち、死亡症例や、住所不明症例、主治医が調査不適格と判断した症例等を除外した。結果として、研究対象者は249名名だった。研究計画を倫理審査に諮り、承認を得た。質問紙を対象者に送付した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

倫理審査の修正申請等に時間がかかったためと、研究代表者の産休・育休による補助事業の中断のため。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は補助事業を中断する。
2020年度は、頭頚部腫瘍に対して陽子線照射を受けた小児がん経験者のフォローアップ調査を行う。カルテ調査と、担当医への質問紙調査を行い、死亡例は調査終了とする。生存例のうち、担当医が調査への参加が適切だと判断した症例のみ、質問紙を送付する。
また、筑波大学で治療をうけた小児がん経験者全体を対象としたQOL調査の解析を行う。
2021年度は、フォローアップ調査と、小児がん経験者全体のQOL調査の結果をまとめ、公表する。
QOL調査の結果を踏まえて、筑波大学附属病院で新たに治療をうける小児がん患者を対象とした前向き調査を開始する。2022年度も前向き調査を継続し、調査結果を公表する。

Causes of Carryover

研究代表者の妊娠・出産により、2018年度の12月から研究を中断したため。また、中断前の期間も、研究代表者が医学上の理由により、筑波大学や各種学術学会への出張が困難であったため、旅費の支出がなかった。また、PC等購入予定であったが、補助事業を中断することになったため、再開後購入する予定とした。