2019 Fiscal Year Research-status Report
我が国の「新薬市場独占期間」の妥当性に関する多面的検討
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18K09968
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桝田 祥子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70508150)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオシミラー / 抗体医薬 / 抗体医薬特許 / 特許権侵害訴訟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国の医薬品産業において、新薬開発のインセンティブを失わずに、ジェネリック・バイオシミラー市場を拡大していくための、新たな制度設計に資するためのものである。 本年度は、前年度に引き続き、新薬市場独占期間に関するデータベースの構築を行い、独占期間に関する基本的なデータ入力はほぼ終了し、他の関連データとの関連付けなどの検討をおこなった。また、前年度に行ったジェネリック・バイオシミラー製品の市場参入時期を複雑化・細分化させる制度の変遷および訴訟動向の検討結果を踏まえ、本年度は、バイオ医薬品の中でも、抗体医薬について、バイオシミラー(トラスツズマブ、リツキシマブ等)の動向を引き続き注視するとともに、抗体医薬開発と新薬特許に関する現状と課題を詳細に検討した。 この数年、抗体医薬に関し、同一作用機序を有する類似新薬に対する特許権侵害訴訟が複数提起され、現行の特許制度により新薬開発のインセンティブや新薬アクセスが損なわれる懸念が生じている。そこで、実際に訴訟が提起されたPD-1抗体医薬とPCSK9抗体医薬の事例について、具体的な比較分析を行い、抗体医薬の研究開発プロセスと発明成立との関係性や抗体医薬特許の権利範囲、今後の医薬品産業における影響等について詳細な検討を行った。それらの検討結果は、第9回医薬知財研究会にて発表し、製薬企業(13社)の知財担当者と意見交換を行い、さらに学術論文として公表する予定である(accepted)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度に引き続き、新薬市場独占期間に関するデータベースの構築を行い、独占期間に関する基本的なデータ入力はほぼ終了し、他の関連データとの関連付けなどの検討をおこなったが、他の関連データの網羅的なデータ入手がやや遅れている。しかし、他方、本年度は抗体医薬に特化した分析を行い、進行中の特許権侵害訴訟の分析・検討結果を製薬企業に提供し意見交換を行うなど、機動的な研究活動を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新薬市場独占期間に関するデータ収集を行うとともに、2018年度、2019年度に調査分析した特許権侵害訴訟の動向に関し、諸外国との比較を行うなど、研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会等への出張が未実施で、旅費の使用が予定よりも少額となったため。
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