2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバルとローカルを統合する新規薬剤耐性(AMR)サーベイランスシステムの構築
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18K09972
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
千酌 浩樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (90283994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 美也子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50523643)
三宅 直美 鳥取大学, 医学部, 特任教員 (90747205)
中本 成紀 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (70379642)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / サーベイランスシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
病原菌の薬剤耐性(Antimicrobial resistance: AMR)への対策は我が国を含む世界的な課題である。効果的な薬剤耐性対策のためには、ヒトとヒトを取り巻く環境中の細菌が薬剤耐性化していく様子を、リアルタイムに把握できるサーベイランスシステムが必要である。耐性菌問題を、地域の問題、あるいは日本と世界の問題としてとらえる新規システムを開発することで本邦の薬剤耐性菌対策に役立てることを目的に本研究を計画した。このために本研究では「任意のグループ間比較を基本原理としたサーベイランスシステム」を開発する。この任意のグループ間比較の原理に基づけば、情報ソースを地域医療機関とすれば、地域の病院間の耐性状況の把握が、国外データとすれば、国際間の薬剤耐性菌の把握が可能である。平成30年度は以下の3つのテーマに取り組んだ。 ①新規サーベイランスシステムの構築:本研究課題で開発する新規サーベイランスシステムは Windows上のデータベース言語であるSQL serverで記述する。入力ファイルは、本邦の多くの病院が加入しているJANISの返却データ(CSVファイル)を用いることで、どの医療機関でも本サーベイランスへ容易に参加できるようにする。さらに海外データ収集のために、データ変換機能を充実し他形式のCSVファイルも扱えるようにする。 ②地域間比較サーベイランスの実施とフィードバック:鳥取県内の地域病院間比較に加え、隣県病院からの耐性菌情報を収集し、新規システムによる経時的監視を行うために、広島県に開発した新規サーベイランスシステムを設置した。 ③地域の菌収集:畜産からヒトへもたらされる可能性がもっとも高い大腸菌を対象菌として、地域の同菌の収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、平成30年度実行項目を、ほぼ順調に達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は以下の項目について検討する。 ①耐性菌情報マッピング機能の開発:耐性菌情報を実マップ上にカラー表示して出力し、視覚的に経時的変化を閲覧できる機能を追加する。このことで耐性化状況が地域の中で地理的関連性をもって変化していくかどうかの把握が可能となる。 ② 耐性菌の病院間比較とフィードバック:ある病院の大腸菌の薬剤耐性が、近隣医療機関における同菌の耐性化状況に影響を与えるかどうか、新規サーベイランスシステムを用いて検討する。 ③危険性検出:近隣病院の耐性率増加が自院の耐性率に影響を及ぼすようになる点(臨界点となる耐性率)を本システムのグループ化機能を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
必要物品が、当初想定より少なかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分とあわせて、計画実行のために使用する予定である。
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