2018 Fiscal Year Research-status Report
Measuring the social impact of return-to-work in cancer patients
Project/Area Number |
18K09973
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
平尾 智広 香川大学, 医学部, 教授 (20325335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕美 香川大学, 医学部, 助教 (00644733)
神田 かなえ 香川大学, 医学部, 助教 (60778629)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 医療経済分析 / がん / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん医療の進歩により、毎年約17万人の勤労者が、がんサバイバーとなる。近年、がんに罹患した後も就労を続けたい個人の視点、今後就労者数が減少するなかで活力を維持したい社会の視点から、がんに罹患した人の復職支援(両立支援)が行われている。しかしこのような復職支援(両立支援)の社会的、医療経済学的なインパクトについて、国内外においてほとんど検討が行われていない。そこで本研究では、①がん患者に対する復職支援(両立支援)の社会的、医療経済学的インパクト、②雇用する企業の視点における、復職支援(両立支援)のインパクトを明らかにし、③これらの分析から、復職支援(両立支援)の普及につながる社会的施策の提案を行う。 初年次は、①がん患者に対する復職支援(両立支援)の社会的、医療経済学的インパクトの解析を行った。 (1)勤労者のがんサバイバー数の推定:対象とするがん種は、胃、大腸、肺、乳房(女性のみ)について、推定に必要な「がん登録・統計」、「労働力調査」等のデータの抽出を行った。 (2)がんサバイバーの生産性の推定:生産性損失の測定ツールであるWPAIを用いて、アブセンティズム、プレゼンティズム、労働生産性に関する調査を行った。「胃」、「大腸」、「肺」、「乳房のがん患者、及びがん非罹患者の5群(各300名、計1500名)を対象に、インターネットによる患者パネル調査を行った、調査項目はWPAIの他に、年齢、がん種、進行度、診断後の期間、治療内容、診断後の就労の有無、就労支援の有無、就労の継続期間、EQ5Dである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年次に患者調査等の施行、二年次にデータ解析、コストの推計、三年次にインパクト推計、社会的施策の提案を行うことになっており、計画通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、①がん患者に対する復職支援(両立支援)の社会的、医療経済学的インパクトの解析を進める。 (3)両立支援に関わる費用の推定:支援に係る直接費用を推定するために、労働者健康安全機構に所属する両立支援促進員等に対して調査を行う。調査内容は、過去一年間の支援人数、支援に要した時間、一月当りの雇用時間、復職に成功した人数、である。 ①(1)~(3)をもとに、医療経済的インパクトを推定する。分析はISPORのガイドラインに準じて行う。 ②雇用する企業の視点における、復職支援(両立支援)のインパクトを推定:企業の視点を考慮するために、経験年数による労働価値、代替職員を採用するためのコストを推定する。一般的に、経験を積むことにより企業における労働価値は上昇すると考えられる。そこで企業の人事担当者を対象に、採用時を1とした場合の経験年数による重みを調査する。また、がんサバイバーの代替社員を雇用するまでに必要なコスト(採用までの期間等を含む)について調査する。調査は香川県内の従業員50人以上の事業所を予定している。 ③復職支援(両立支援)の普及につながる社会的施策の提案:以上の分析により、年齢別、進行度別の社会的、医療経済的インパクトが明らかになる。
|
Causes of Carryover |
患者調査、分析用PCが当初の見込みより低価格で執行できたこと、情報収集のための学会出張を次年度に持ち越したことにより生じた。 今年度に行う調査、学会出張に使用する予定である。
|