2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on the educational system for dealing with brain death patients in the emergency / intensive care medicine
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18K09981
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
荒木 尚 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30287677)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳死 / 終末期医療 / 臓器提供 / 生命倫理 / 死生観 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の救急医療における脳死には、臓器提供を前提とした「法的脳死」と臓器提供に関わらない「一般的脳死」が存在する。法的に死を意味しない一般的脳死は、施設毎の基準により診断される傾向にあり、その質には大きなばらつきが認められている。終末期の一型である一般的脳死は極めて重要な位置にありながら、均質ではない脳死診断が看過されたまま終末期の議論が展開されることは極めて憂慮される事態である。以上の背景から、脳死判定の手技や脳死下臓器提供を軸とした終末期医療の在り方について、医療従事者に対し広く適用可能な、総合的教育機会を設ける。現代の医学水準に沿った均質な脳死判定の実践と、適切な家族対応を教育することにより、終末期における医学的判断の透明性が確保されることを期待する。強固な医師患者間の信頼関係を通じて、より良い終末期医療の提供するための一助とする。課題① 教育プログラムおよび教材の開発 初年度は、脳死について系統的な学習を可能とする教育プログラムを開発するための情報収集を行うために、国内外の学会参加やセミナーにおける意見交換を行った。日本における脳死という概念の成り立ち、歴史的な解釈の変遷、脳死判定の実践に必須な知識、わが国における終末期医療について検討した。また、標準的テキスト編纂のために、執筆者選定を行い執筆依頼を行った。課題② 学習効果の評価法を確立 初年度受講前後の学習効果を測るため試験問題を作成した。テーマ毎に重要事項を選択、試験問題を作成した。手技の評価には自己評価法を用い、適切な手法を開発する。試験的に問題を総覧し改訂の要否を検討する。以上の問題はセミナー開催時に評価試験として用い、学習効果の判定に優れているかどうか意見を募る予定である。令和元年度には上記2項目を達成し、より具体的な成果物を提示していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会開催時に行われる脳死判定セミナーの参加者に対して受講前後の試験を実施して正解率の変化について統計学的検討を加えたところ、一定の教育効果がパイロット的に認められた。課題として、教育ツールに一貫する理念の設定、標準化テキストの作成を当初の目標とする。このためには国内外の学会発表を継続し、意見交換を行いながら収斂する。現在講義の講師に対し標準的教科書の執筆を依頼している。今後内容の編集作業を行う予定である。
脳死に関する国際的議論は数年前より活発になっており、この進捗についても紹介できる内容としていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度はこれまで収集した情報を活かし、執筆内容を編集して教科書の編纂に取り組む。脳死の理解とその技術的修得を可能にする内容を目指す。同時に教育効果の評価について専門的指導を受け、より洗練された評価法の開発に努める予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度は教科書執筆を各担当者に依頼し、原稿を受領するまでの期間として経過したため、具体的編集の工程は令和元年度に遂行されることとなった。
令和元年度の脳死判定セミナーも予定通り実施される。セミナー参加者の試験結果や総合討論において抽出された課題は、今後教育ツールの内容に十分反映させ、実効性のある最終成果物を目指したいと考えている。
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