2018 Fiscal Year Research-status Report
Perceived positive change of breast cancer survivor
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18K09990
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
溝田 友里 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (00582256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 精一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 特任研究部長 (50291141)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳がん / サバイバー / がん患者 / レジリエンス / positive change / QOL / 面接調査 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
がんサバイバーの支援において、病経験を経て得られる、成長など自己の変化や他者との関係性の変化、人生観の変化などのポジティブな変化が注目されている。しかし、方法論的限界から構成概念や適応における意義、変化の基本的なプロセスや促進要因について十分明らかになっていない。そこで本研究では、乳がんサバイバーが病とともによりよく生きるための支援における具体的方法の示唆を得るため、本研究課題により実施する面接調査と、先行して実施している乳がんサバイバーを対象とするコホート研究(縦断研究)を組み合わせ、ポジティブな変化の分布や変化、変化に関連する要因、予後や長期的QOLに与える影響を明らかにすることとした。 本研究課題では、数十人の乳がんサバイバーを対象に面接調査を行い、ポジティブ・ネガティブの両面から対象者の変化を継時的に明らかにし、そのきっかけや関連要因を因果関係も含め詳細に明らかにする。本研究課題では、当事者参加型アクションリサーチの方法を参考に、研究の企画段階から当事者である乳がんサバイバーの方に研究グループに加わってもらい、当事者と研究者との協働により研究を進めている。 初年度である2018年度は、まず研究体制作りとして、当事者である乳がんサバイバーに協力を依頼して研究実行委員会を立ち上げた。次いで実行委員会でのディスカッションを重ね、研究計画の作成を行った。研究計画の作成やインタビューガイドの作成にあたっては、学術論文を中心とする文献レビューに加え、サバイバーの生の声を聞くため、「キャンサーギフト」や「がん・得たもの」、「がん・成長」などをキーワードにがんサバイバーの手記やブログなどについてもレビューを行うとともに、がんサバイバーのイベント等にも参加し、当事者の思いや経験を収集した。また、がんサバイバーへのヒアリングを行い、インタビューガイドの修正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、スケジュールに関して、面接調査の実施期間は3年とし、1年目で研究計画の作成、2年目・3年目で面接調査の実施、3年目後半よりデータの分析を行うとしていた。 1年目にあたる今年度は、当事者である乳がんサバイバーを交えた研究実行委員会を立ち上げ、様々なレビューやヒアリングを行い研究計画書やインタビューガイドを作成するなどして、当初の計画どおり研究計画書を作成することができた。 当初の計画どおりに遅延なく研究計画を進めているため、「当初の計画以上に進展している」とまでは言えないが、「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した研究計画書は現在、研究代表者が所属する国立がん研究センターの倫理審査委員会での審査に向け、研究実行委員会で最終確認中である。倫理審査委員会での審査および研究実施の承認を得次第、速やかに面接調査を実施できるよう、研究計画書の最終確認に並行して、面接調査を実施するフィールドの確保や研究協力者との調整など、面接調査の実施に向けた準備を進めている。 2年目である2019年度の後半より面接調査を開始し、3年目まで面接調査を続ける。その際には、面接と並行してトランスクリプトの作成や質的な分析、研究実行委員会でのディスカッションを進めることで、その後に続く面接へのフィードバックを行い、最終的な解析のベース作りも行う。面接調査が終了し次第、3年目の後半からすべての面接のデータを用いたデータの分析を実施する予定である。 以上のように、先を見据えて研究実施や分析準備を並行して進めることにより、研究計画を順調に推進することとしている。
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Causes of Carryover |
2018年度は書籍の購入や文献の取り寄せを主とする物品費で100,000円使用予定であったが、図書館等の蔵書や無料の文献取り寄せサービスを活用することができたため、物品費を31,428円に抑えることができた。残額は次年度の物品費に活用することを予定している。
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