2019 Fiscal Year Research-status Report
バーチャルリアリティ技術を活用したシミュレーション教育プログラムの開発と検証
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18K09995
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前野 哲博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40299227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛谷 英紀 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70334050)
矢野 博明 筑波大学, システム情報系, 教授 (80312825)
稲葉 崇 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90826182)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シミュレーション教育 / バーチャルリアリティー / チーム医療教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療の高度化・複雑化に伴い、チーム医療の重要性が強調されている。それを実践する能力を修得するには、一方向性の座学だけでは不十分で、教育に適した場を再現した環境下で、実際に身体を動かして学ぶシミュレーション教育が必須である。本研究では、VR(Virtual Reality)を本格的に取り入れることで、災害現場や在宅などのシチュエーションや患者の状態や状況を忠実に再現し、チーム医療の実践に不可欠なスキルについて学ぶ状況対応シミュレーション教育プログラムを開発して、その効果の検証を行う。 2019年度については、2018年度に開発したVRシステムを実際に用いて研究メンバー以外の医師を対象に教育プログラムを施行するテスト(βテスト)を行い、技術的な問題点の修正やVR酔いなどへの対応等を行った。 また、2018年度に作成した病院急変対応シナリオの他に、VRの利点をより活かすシナリオとして、災害現場での多数傷病者に対するトリアージ訓練を行うシナリオを作成した。2018年度は実際に用意した患者役の人間をクロマキーを用いてVR空間内に合成してシナリオを進めていたが、2019年度はVR空間内にバーチャルで作成した傷病者を登場させられるように変更した。これにより、患者役を多数用意することなく、多数傷病者への対応のトレーニングが行えるようになった。VR空間内では、バーチャルで作成した傷病者に対して気道確保や脈拍蝕知確認、動脈性出血の確認と止血作業なども再現できるよう技術改良や工夫を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は実際に研究メンバー以外の医師を対象に教育プログラムを施行するテスト(βテスト)を行い、実際に教育を行った際の問題点や改良点を探り、教育プログラムとしての質を高める予定であったが、概ね予定通り行うことができた。実際に、複数名の専攻医にVRシステムを用いた急変対応トレーニングを行うことができた。実際の教育対象者として想定される多職種への教育を実際に行うことも2019年度の目標であったが、そこまでの実施はできなかった。その理由として、βテストを行ったところ参加者によってはVR空間と実空間の時間的空間的ズレにより乗り物酔いの様な症状が出る「VR酔い」が問題となることが判明し、その改善や対策に多くの時間を割いた。プレイヤーのVR酔いに対しては、ヘッドマウントディスプレイへの映り込みの調整や、ヘッドマウントディスプレイのワイヤレス化、傷病者役をクロマキー合成からVR空間内にバーチャルに作成することなどで解消した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は実際の教育対象者として想定される多職種への教育を実際に行い、教育効果の検証を行う予定である。また、多数傷病者への対応経験が豊富な専門家にプログラムに対するアドバイスを受けることも検討している。
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