看護必要度から解析する転倒リスク・パラメーター作成に関する基礎的検討

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K09996
• Research Institution: Dokkyo Medical University
• Principal Investigator: 尾林 聡 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10262180)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森脇 睦子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (40437570) ; 伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913) ; 鳥羽 三佳代 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (60463923)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: DPC / 転倒・転落 / 看護必要度

Outline of Annual Research Achievements

院内のインシデントの多くを占める転倒・転落の予防対策は国内外を問わず、大きな課題となっている。転倒後の重大外傷として骨折や頭蓋内出血が含まれているため、急激な高齢化が進む日本において、骨折や頭蓋内出血の原因となるような転倒・転落事例の院内発生は、患者ADLや予後の悪化を招くだけではなく、病院にも大きな負担となっている。治療ための医療費は医療保険財政に追い討ちをかけることになり、転倒に対するリスク評価は喫緊に解決しなければならない課題となっている。国内でも多くの研究者が転倒・転落のリスク因子分析や転倒転落アセスメントツールの開発などを行ってきたが、転倒・転落をすべて回避することはできず、現在でも多く高次医療施設で院内発生が報告されている。
看護必要度の推移を個人単位で解析・評価し、解析結果の推移等から転倒転落に関連するパラメーターを作成し、パラメーターを用いて、患者個々人の転倒・転落リスク予測と評価、さらに予防対策立案に応用できるかを検討しているが、明らかな傾向がみられず、このためDPCデータ調査研究班により作成・公開されるDPCデータベースを用いて、患者個人における看護必要度評価点数と再度転倒に関する因子分析を行い、患者個々人のリスク因子を抽出し解析を行っている。
現在はDPCデータからとくに入院中の骨折事例を抽出できるか否かの検討を行っていて、入院後の転倒、さらに骨折に至る重篤な事象と看護必要度から転倒リスクを算出できるのかを調査中である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ＤＰＣを用いたデータベース構築の進捗がやや遅れており、とくにデータ・クリーニングに手間がかかるため難儀をしている。基礎データの抽出と解析が行える施設が限定されているため行動制限の解除時に限って解析実施を行っており、遅延傾向であるが、クリーニング終了後には至急解析を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

入院中の骨折ケースに限定することにより、サンプル数は限られるものの、逆にケースによっては詳細な検討を行うことが可能となり、より精度の高い転倒リスク因子の抽出ができる可能性があると推察している。

Causes of Carryover

DPC情報を用いる研究調査は、実行できる施設と設備が限局され、このため施設訪問が必須となっている。昨年度来全国的な行動制限などにより実質的な完全な研究活動が実行不可により解析を行えたのが一部であったため、次年度の使用額が生じている。
予算はクリーニング終了後には最終解析と報告書、投稿準備のためのコストに振り分ける予定にしている。