2023 Fiscal Year Annual Research Report
看護必要度から解析する転倒リスク・パラメーター作成に関する基礎的検討
Project/Area Number |
18K09996
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
尾林 聡 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10262180)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 睦子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (40437570)
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
鳥羽 三佳代 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (60463923)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 転棟・転落 / 医療安全 / 予測パラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
院内インシデントの多くを占める転倒転落の予防対策は国内外を問わず現在も大きな課題であり、転倒後の重大外傷としての骨折や頭蓋内出血が含まれる。高齢化が進む日本においてはこのような疾病の原因である事象の発生が患者のQOLや予後も悪化を招くと同時に、病院の医療安全にとっても大きな負担である。さらにここにかかる医療費は保険財政を逼迫することも予想されるため、転倒の事前のリスク評価は喫緊に解決しなければならない課題である。 入院中の外傷性頭部外傷を生じた65歳以上の患者の死亡リスク因子をDPCデータベースから7年間分について調べたところ、対象者は12200名、平均79.2歳であり、死亡リスクを上昇させる因子としてあげられたのは悪性腫瘍、血液疾患、呼吸器疾患、外傷性頭部損傷手術、男性、BMI 18.5未満などであり、入院中の頭部外傷が生じた場合の死亡リスクを上昇させる因子を認め、頭部外傷の重症化予測の指標とした。 転倒の予測モデルについては多くの報告があげられているが、入院中の治療に伴う患者の移動能力の変化と、転倒転落との関連についての報告は未だない。今回我々は看護必要度の推移を再度DPCデータベースを利用して転倒転落の結果である入院後の大腿骨近位端骨折の有無について骨折群(n=1858)および非骨折群(n=8512693)の間で評価・解析を行った。毎日の看護必要度から移動に関する患者移動状態を把握したところ、入院時の移動状態が「改善すること」と「骨折リスクの高いこと」が関連していると認められ、患者の状態の変化により医療サイドの注意すべき対象が変化する可能性が示唆された。以上より易転倒のリスク予測が可能となり、監視の注力配分の工夫によって予防される可能性が考えられた。
|