2019 Fiscal Year Research-status Report
A newly developed termination of resuscitation rule in the field for refractory out-of-hospital cardiac arrest in Japanese aging society
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18K09999
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 由和 金沢大学, 医学系, 准教授 (60282167)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心停止 / 病院前救護 / 医療社会学 / 地域医療 / 蘇生中止 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度開発した現場蘇生中止基準の外部検証と院外心停止例の転帰に対する性差の影響を解析した。開発した現場蘇生中止基準は、Journal of Cardiology (2019;73:240-246)に掲載され、第67回日本心臓病学会学術集会(2019.9.13, 名古屋)において、最優秀論文賞(上田賞)を受賞した。本年度は、2016年から2017年度の全国院外心停止例(N=242,184)を用いて外部検証を行った。その結果、心停止後1か月後の死亡予測は特異度99.5%・陽性的中率99.8%であった。本基準の該当する院外心停止者は10.4%であった。また、蘇生ガイドラインで推奨されているBLS蘇生中止基準を同じ対象に適応すると、心停止後1か月後の死亡予測は特異度44.7%・陽性的中率96.7%であった。この特異度と陽性的中率は我々の開発基準より低く、わが国ではBLS蘇生中止基準の運用は適切でないと考えられた。この成果は、第47回日本救急医学会学術集会(2019.10.2, 東京)において発表した。また、院外心停止例の転帰に対する性差の影響は、2013年から2016年度の全国院外心停止例(N=386,535)を対象とし検討した。年齢別に8群に分類し、心停止後1か月後の転帰を男女間で比較した。その結果、粗生存率は3群(<30歳、80-89歳、≧90歳)を除き男性が女性より優位に高かった(すべてp<0.001)。しかし、傾向スコアを用いた交絡因子の調整を行うとすべての群において性差は消失した(すべてp>0.05)。すなわち、高齢者を含めたすべての年齢層において、心停止後1か月後の転帰に性差はないことが判明した。この成果は、第22回日本臨床救急医学会総会(2019.5.31、和歌山市)において発表し、Critical Care (2019;23:263)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿い、消防庁集計ウツタインデータ(全国院外心停止集計データ)を用いて、解析を行った。年度末の国際学会(欧州不整脈学会、ウイーン)で演題採択され、その成果を発表予定であったが学会中止に伴い国際学会での発表は延期となった。上田賞の受賞を得たことなどから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、開発した蘇生中止基準の新データ(2018年度分の約12万例の院外心停止例)を用いた外部検証を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた国際学会(欧州不整脈学会、ウイーン)への参加・演題発表の予定がコロナウイルス肺炎のパンデミックにより開催中止となったため、次年次使用額が生じた。論文掲載代金および国際学会参加費の一部に補充する予定である。
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Research Products
(9 results)