2018 Fiscal Year Research-status Report
占領期医療政策の変遷を計量テキスト分析により検証する:文理融合の歴史研究法開発
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18K10006
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
杉田 聡 大分大学, 医学部, 教授 (00222050)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保健医療史 / 占領史 / 逆コース / GHQ / 医療政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次世界大戦後の占領期(1945-52年)において占領軍総司令部が日本政府に指示した政策は「日本の民主化・非軍事化」であった。しかし、その後に国内外の情勢の変化に応じて「保守的・中央集権的」な政策へと当初とは逆行していくこととなった。この「逆コース」が占領期の保健医療改革についても存在するかどうかを、申請者がこれまでの研究で蓄積した電子ファイルデータを用いて立証することを目的とした研究を行った。研究方法としては、計量テキスト分析を採用した。計量テキスト分析は、1. 文章のテキストファイル化(これまでの研究で一部完了しているものを用いる)、2. 形態素解析(語句を形態素に分け品詞を特定する)、3. 頻度集計(テキスト内での語句が出現する頻度の集計)、4. 共起(テキスト内で異種の語句が同時に出現すること)の解析、5. クラスター分析(共起の解析により語句を分類する)、6. コレスポンデンス分析(語句間の関係性から新しい分析軸を作成し語句の出現パターンを可視化する)のプロセスで行うものである。 本研究で研究対象とするのは以下の史料とする。1)Weekly Bulletin(週刊広報)、2)Daily Journal (業務日誌)、3) Daily Journal (業務日誌)所収のConference項目、4) Memorandum for Record(記録用覚書)の文書本文、5) 国会衆参両議院厚生委員会議事録。 本年度は上記の研究方法論が妥当であるかどうかのフィージビリティスタディとして、現代日本の生命倫理の言説の変化を朝日新聞記事を研究対象として、計量テキスト分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は5年計画の研究の第1年次であったが、研究対象とする文書の容量が予想をはるかに超えていたこと、その文書を分析可能なデータに変換する作業の研究補助者の確保がうまくいかなかったこと、研究代表者自身の体調の不良のための病欠より分析の時間が足りなかったこと等により、当初の計画よりは少し後退している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、より業務の処理能力が卓越した研究補助者の確保と、分析の対象となる文書を吟味するなどの工夫を凝らして、1年次において後退した研究計画を補てんすることとする。
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Causes of Carryover |
研究補助者の確保と研究代表者自身の病欠により研究の進行が一部滞ったため。第二年度においてはより情報処理能力にたけた研究補助者を選抜し雇用するための謝金として、実行が不能となった連携研究者や研究協力者との研究打ち合わせのための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)