2019 Fiscal Year Research-status Report
コーチングを活用した医学生向けレジリエンストレーニングプログラムの作成
Project/Area Number |
18K10018
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
西垣 悦代 関西医科大学, 医学部, 教授 (70156058)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医学生 / レジリエンス / マインドフルネス / 医学教育 / コーチング / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度最大の成果は「ポジティブ心理学コーチングの実践」(金剛出版)の監訳・出版であった。第6回国際ポジティブ心理学会(メルボルン)において、原著編集者のGreen, S.博士をはじめ、著者の先生方と意見交換をおこなった。出版に合わせて日本健康心理学会において、他の翻訳者と共に「ポジティブ心理学コーチングのウェルビーイングへの貢献可能性」とするシンポジウムを開催し、多くの関心を得ることができた。さらに、日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会において、ポジティブ心理学コーチングをテーマとする招待講演を行った。また、大会長千葉大学の小林正弥教授の招待で、メルボルン大学ポジティブサイコロジーセンターのDr. Oades教授らとの小規模なシンポジウムとディスカッションの場を持ち、多くの有益な示唆を得た。 医療系学生に対するコーチング授業の成果については、昨年度に続き日本教育心理学会において「看護学生に対するコーチングを生かした授業の効果」として、レジリエンスとコーチングに対する自己効力感の変化の分析および、学生の気づきの質的分析の結果を共同研究者らと共に発表した。この研究は今後、効果の持続性について検証していく予定である。 医学生に対するマインドフルネスを活用したプログラムの効果については、前年度に実施・収集したデータの分析を行い、レジリエンスや情動知能の上昇、学生の反応などについて効果が見られることを、ヨーロッパ健康心理学会、日本健康心理学会、日本マインドフルネス学会において発表した。特に、日本マインドフルネス学会では多くの医療関係者から有益な助言や示唆を得ることができた。さらに詳細なデータを得るべくマインドフルネスの実践による唾液コルチゾル、唾液アミラーゼなどの生理指標の変化を2週間に渡り測定する実験を実施し、現在解析中である。 レジリエンスプラクティショナーの資格も取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、ほぼ計画通りに進展している。マインドフルネス実践による生理指標の変化を調べる実験は前倒しして今年度中にデータを収集したため、計画よりも進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したレジリエンスプラクティショナーの資格とコーチング資格を生かして、医学生向けレジリエンスプログラムのプロトタイプを完成させ、試行する予定である。また、今年度実施し、解析をおこなった医療系学生のコーチング授業の効果の持続性、医学生向けマインドフルネス授業の改良版の効果、継続的なマインドフルネス実践による生理指標の変化についての解析結果を国内外の学会で発表する予定である。 ただし、コロナウィルスの感染拡大により、国内国外を問わず学会の中止・延期がすでに発表されており、さらに大学の授業形態や開講時期の変更も予定されているため、研究の計画通りの実施可能性については不透明な部分がかなりある。
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Causes of Carryover |
研究が予定より進展したため、前倒しで300000円の請求を行い執行した。3000円はその端数として残った金額である。 次年度は成果を広く公表するためのウェブページの作成と、成果発表のための学会参加費、および作成したプログラムの実行に関わる費用を執行する予定である。
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