2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子の表面特性がアレルギー疾患に及ぼす影響とその早期分子機構の解明
Project/Area Number |
18K10025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 晶子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20454324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / アレルギー / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体・免疫応答の上流にある上皮細胞と免疫担当細胞、及び、それらの相互作用に注目し、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とした。本年度は、表面修飾の異なる2種類の酸化チタンと無処理の酸化チタンを、呼吸器との最初の接点である気道上皮細胞と免疫応答の開始細胞である抗原提示細胞に、アレルゲンである卵白アルブミンの存在下および非存在下に曝露し、細胞活性、サイトカイン産生、細胞表面分子DEC205の発現等に及ぼす影響を検討した。その結果、卵白アルブミンの存在下および非存在下、何れの曝露濃度(5, 15, 45, 135 microg/mL)においても、気道上皮細胞に対する細胞活性の低下は認められなかった。また、ある種の表面修飾をした酸化チタンが、卵白アルブミンの非存在下において、気道上皮細胞のIL-6産生を誘導し、無処理の酸化チタンと比較すると、有意に高値を示した。一方、卵白アルブミンの存在下では、卵白アルブミン単独曝露によって、IL-6の増大が確認されたが、何れの酸化チタンの影響も認められなかった。抗原提示細胞に対する影響は、卵白アルブミンの存在下および非存在下、何れの曝露濃度(5, 15, 45 microg/mL)においても、細胞活性の低下は認められなかった。また、卵白アルブミンの非存在下では、無処理および表面修飾した酸化チタン何れも、軽微にDEC205発現が上昇した。一方、卵白アルブミン存在下では、卵白アルブミン単独曝露によって、DEC205発現が増加し、表面修飾した酸化チタンが加わることによって、さらに増加した。従って、ある種の表面修飾は、アレルゲン存在下、あるいは、非存在下において、酸化チタンの特性を変化させ、気道上皮細胞の催炎症性反応や抗原提示細胞の活性化を誘導し、呼吸器疾患の悪化に関与しうることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とし、それに沿った計画を立案し、研究を進めている。当該年度までに、アレルゲンの存在下、および非存在下において、表面修飾の異なるナノ粒子が、気道上皮細胞と抗原提示細胞に及ぼす影響を検討した。一部、未検討事項があるものの、ある種の表面修飾は、アレルゲン存在下、あるいは、非存在下において、酸化チタンの特性を変化させ、気道上皮細胞の催炎症性反応や抗原提示細胞の活性化を誘導し、呼吸器疾患の悪化に関与しうることを見出し、おおむね順調に進展していると、自己点検、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度に引き続き、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明する。具体的には、表面特性の異なるナノ粒子が、抗原提示細胞と各種T細胞サブセットとのネットワークに及ぼす影響、表面特性の異なるナノ粒子が、NH細胞に及ぼす影響等を中心に検討を行なう。
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Causes of Carryover |
出産後の子の養育のため、十分な研究・実験時間の確保が困難であり、一部の検討ができなかったため。 実施予定であった、表面特性の異なるナノ粒子が上皮細胞のアレルギー関連分子産生に及ぼす影響の検討のうち、未検討の上皮由来サイトカインの産生の測定等に使用する。
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