2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子の表面特性がアレルギー疾患に及ぼす影響とその早期分子機構の解明
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18K10025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 晶子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20454324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / アレルギー / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体・免疫応答の上流にある上皮細胞と免疫担当細胞、及び、それらの相互作用に注目し、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とした。本年度は、表面修飾の異なる2種類の酸化チタンと無処理の酸化チタンを、呼吸器との最初の接点である気道上皮細胞と免疫応答の開始細胞である抗原提示細胞に、アレルゲンである卵白アルブミンの存在下および非存在下に曝露した。上皮由来サイトカイン産生に及ぼす影響をEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assayにより、各種酸化チタンナノ粒子が卵白アルブミンのプロセシングに及ぼす影響を、プロセシング時に酸性化する細胞内pH環境を検出する蛍光プローブと卵白アルブミンとを結合させ、蛍光プレートリーダー並びにタイムラプス観察により測定した。また、りん酸緩衝液中、卵白アルブミン不含培地中、卵白アルブミン含有培地中において、各種酸化チタンナノ粒子の粒径分布を動的光散乱法により測定した。その結果、卵白アルブミンの存在下および非存在下において、何れの曝露濃度においても、上皮由来サイトカインの産生変化は、認められなかった。抗原提示細胞に各種酸化チタンを曝露すると、一部、卵白アルブミンのプロセシングの増加が認められた。各種酸化チタンの粒径分布を調べたところ、リン酸緩衝液中と培地中とで粒径の傾向が異なった。従って、酸化チタンの表面特性は、抗原提示細胞の免疫応答を変動させることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とし、それに沿った計画を立案し、研究を進めている。当該年度までに、アレルゲンの存在下、および非存在下において、表面修飾の異なるナノ粒子が、気道上皮細胞と抗原提示細胞に及ぼす影響を検討した。一部、未検討事項があるものの、ある種の表面修飾は、酸化チタンの特性を変化させ、生体・免疫応答に異なる影響を与えうることを見出し、おおむね順調に進展していると、自己点検、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度に引き続き、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明する。具体的には、表面特性の異なるナノ粒子が、NH細胞に及ぼす影響等を中心に検討を行なう。
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Causes of Carryover |
表面特性の異なるナノ粒子が、NH細胞に及ぼす影響等を検討する予定であったが、研究を進める中で、各種酸化チタンナノ粒子の粒径分布を優先して測定する必要が生じたため、計画を変更し、未使用額が生じた。次年度は、実施予定であった表面特性の異なるナノ粒子が、NH細胞に及ぼす影響等の検討に使用する。
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