2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子の表面特性がアレルギー疾患に及ぼす影響とその早期分子機構の解明
Project/Area Number |
18K10025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 晶子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20454324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / アレルギー / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ粒子は、100 nm以下の極微小な粒子状の物質である。化粧品、家電製品、電子機器、塗料・インク等、身近な生活用品にもしばしば使用されるようになり、一般環境における呼吸や皮膚を介した曝露機会が増加している。ナノ粒子は、その粒径の小ささから、気管支、肺や皮膚に沈着した後、体内へ侵入し、呼吸器系や免疫系、特に、気管支喘息やアトピー性皮膚炎に影響を及ぼす可能性が指摘されている。本研究では、生体・免疫応答の上流にある上皮細胞と免疫担当細胞、及び、それらの相互作用に注目し、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とした。研究成果を、アレルギー悪化作用を有するナノ粒子の削減と、改善作用を有するナノ粒子の製造、普及に活用し、安全・安心な高度技術により人々の生活を豊かにすることを目指す。本年度は、マウス腸間膜リンパ節より自然免疫系NH細胞(Lin-CD45+KLRG1+Sca-1+)をセルソーターを用いて単離し、酸化チタンを、NH細胞活性化因子IL-33存在下および非存在下において曝露した。その後、NH細胞より産生されるIL-5, IL-13等のTh2サイトカインの産生を、Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay により測定した。その結果、ある種の酸化チタンは、IL-33存在下において、IL-5あるいはIL-13の産生を増大させた、あるいは、その傾向が認められた。従って、酸化チタンは、NH細胞を活性化させ、アレルギー疾患の悪化に寄与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、ナノ粒子の表面修飾がアレルギーに及ぼす影響と、その早期分子機構を解明することを目的とし、それに沿った計画を立案し、研究を進めている。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、研究にやや遅れが生じた。但し、そのような中、酸化チタンがNH細胞に及ぼす影響を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NH細胞に対して、曝露する酸化チタンの種類を増やし、さらなる表面修飾基の違いを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、研究にやや遅れが生じた。NH細胞等の免疫担当細胞に対して、複数種類の酸化チタンを曝露し、酸化チタン表面修飾基の違いを検討していく予定である。
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