2021 Fiscal Year Annual Research Report
Neurobehavioral changes in mice exposed to low-level mercury vapor and/or methylmercury during postnatal development.
Project/Area Number |
18K10029
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Research Institution | Tokyo Junshin University |
Principal Investigator |
吉田 稔 東京純心大学, 看護学部, 教授 (80081660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
李 辰竜 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (80581280)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水銀蒸気 / メチル水銀 / 複合曝露 / 神経行動毒性 / 加齢 / マウス / DNAマイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
発育期における低濃度の水銀蒸気(Hg0)とメチル水銀(MeHg)の複合曝露が神経行動機能に及ぼす加齢の影響について検討した。また神経行動毒性の解明のためDNAマイクロアレイ法による脳内発現変動遺伝子の解析を行った。C57BL/6J系雌性マウスに0.094mg/m3Hg0と5 ppm MeHgの複合曝露を出生後から12週齢まで行い、44週齢に達したときに行動試験(オープンフィールド(OPF)試験、受動回避反応(PA)試験)を実施したが、加齢の影響を見たが、対照群とHg0曝露群、MeHg曝露群そして複合曝露群の間に有意な差異は認められなかった。しかし、17週齢では複合曝露群においてOPF試験、PA試験において神経行動毒性が認められたことから脳内発現変動遺伝子の解析を行った。複合曝露群では41遺伝子の発現が2倍以上に上昇し、19遺伝子の発現が1/2以下に減少した。しかし、Hg0曝露群でも24遺伝子の発現が2倍以上に上昇し、27遺伝子の発現が1/2以下に減少した。またMeHg曝露群でも29遺伝子の発現が2倍以上に上昇し、29遺伝子の発現が1/2以下に減少した。すべての曝露群でPlbd1遺伝子の発現の上昇そしてArhgap22遺伝子の発現の減少が認められたことから、これらの遺伝子は、水銀に対する非特異的な水銀応答遺伝子である可能性が示唆された。また複合曝露によりAno2およびSgk1遺伝子の発現が1/2以下に低下した。Ano2遺伝子は、大脳のPurkinje細胞のカルシウム濃度調節に関与することが知られており、Sgk1は、糖質コルチコイドによって誘導されるキナーゼタンパク質をコードしており、近年パーキンソン病などの神経疾患との関わりが注目されている。これらの遺伝子は、複合複合曝露によって発現変動が認められることから、神経行動毒性と何らかの関連性があると考えられる。
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