2020 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性インフルエンザウイルスの検出系の確立に関する研究
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18K10036
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高下 恵美 国立感染症研究所, インフルエンザウイルス研究センター, 主任研究官 (30361249)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗インフルエンザ薬 / 薬剤耐性ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤バロキサビル マルボキシルは、日本国内で開発された抗インフルエンザ薬で、世界に先駆けて日本で承認され、その後、世界15カ国で承認されている。一方、バロキサビル マルボキシルの臨床試験において、薬剤感受性が低下した耐性変異ウイルスが検出されたため、耐性変異ウイルスの発生状況を迅速に把握し、自治体および医療機関に速やかに情報提供することは公衆衛生上極めて重要である。そこで、バロキサビル マルボキシルに対する耐性変異ウイルスの検出系を構築し、耐性変異ウイルスの監視体制を確立するのが本研究の目的である。
本年度は、本研究で開発した3系統(Plaque reduction assay、CPE reduction assay及びFocus reduction assay)のバロキサビル マルボキシル感受性測定系のうち、Focus reduction assayを用いて、PA蛋白質にE23K耐性変異を持つバロキサビル マルボキシル耐性変異ウイルスのヒトからヒトへの感染伝播を世界で初めて明らかにした。また、バロキサビル マルボキシル投与後にバロキサビル マルボキシル耐性変異ウイルスが検出された小児では、感受性ウイルスが検出された小児と比べてウイルスの放出期間並びに罹病期間が延長することを報告した。さらに、世界保健機関(WHO)の専門家グループと協力し、昨年度に開始した世界規模でのバロキサビル マルボキシル耐性ウイルスの監視を継続して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、インフルエンザウイルスの検出報告が激減しており、十分な情報取集ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
バロキサビル マルボキシル耐性ウイルスの監視体制については、世界規模で考える必要がある。世界保健機関(WHO)の専門家グループと協力し、国内外の耐性ウイルス検出状況について引き続き情報収集し、監視体制の強化を行う。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和3年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和2年度分についてはほぼ使用済みである。
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Research Products
(12 results)