2019 Fiscal Year Research-status Report
神経症状を伴うヒトパレコウイルス3型臨床分離株の特徴と病原性解析
Project/Area Number |
18K10038
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
伊藤 雅 愛知県衛生研究所, 生物学部ウイルス研究室, 主任研究員 (00446650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 洋子 愛知県衛生研究所, 生物学部ウイルス研究室, 主任 (70209823)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ピコルナウイルス / パレコウイルス3型 / 神経病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピコルナウイルス科に属するパレコウイルスA-3型(PeV-A3)について当所で検出された神経症状を有する患者からの検出株の解析を進めている。 1.HeLa細胞で分離された神経症状を有した患者由来のPeV-A3分離株(7株)、有しない患者由来の分離株(1株)計8株を各種培養細胞(Vero,RD-A,BGM,LLC-MK2,CaCO2)に接種して、ウイルスの増殖性を検討している。Vero細胞では全ての株で明らかな細胞変性効果(CPE)によりウイルス分離が観察された。LLC-MK2細胞では初代培養では明らかなCPEは観察され無いが、接種2週間後の培養上清では全例ウイルス遺伝子が検出された。BGM細胞、CaCO2細胞では神経症状を有した患者由来の別々の2株がCPEを伴い初代培養でウイルスの増殖が確認された。PeV検出用リアルタイムPCR の系を整えたので、今後はウイルス株による培養細胞での増殖能力の違いを定量的に測定する予定である。 2.ウイルス分離株77株について、全ウイルス構造蛋白領域の塩基配列(2,313bp)および推定アミノ酸配列(771aa)による分子系統樹解析を行った。神経症状の有無による分離株の系統樹解析による特徴は見られなかった。海外の登録株を追加しさらに解析する。 3.人獣共通感染症の可能性解析のため、愛玩動物(イヌ90検体、ネコ6検体)、野生動物(イノシシ56検体、シカ、カモシカ36検体)の糞便検体を用いパレコウイルスの遺伝子検出を実施した。結果はすべて陰性であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分離株の塩基配列の解析は順調に進んでいる。各種動物でのパレコウイルス遺伝子検出も実施できた。令和2年1月より新型コロナウイルス検査対応のため、研究業務が全くできない。細胞培養法による研究を計画しているが、細胞維持管理も難しい状態が続いているため研究期間を1~2年間延期できるとありがたい。
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Strategy for Future Research Activity |
保有分離株については塩基配列の解析が終了しているので、海外から報告されたウイルスの遺伝子情報を追加し、系統樹解析を実施する。塩基配列及び推定されるアミノ酸配列に基づく神経症状に関連する遺伝子の変異等を解析する。現在までの研究結果について令和2年度の日本臨床ウイルス学会への報告を予定し、演題を登録している。 新型コロナウイルス検査対応のため、予定した研究業務が難しい。新たな検体搬入も困難な状況が考えられるため、所有する分離株で各種培養細胞における増殖能力を解析し、研究のまとめとする計画である。
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Research Products
(1 results)