2020 Fiscal Year Annual Research Report
Why epidemic period of respiraotry syncytial virus has shift to summer time?
Project/Area Number |
18K10043
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30345524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (30621198)
阿部 貴志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30390628)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RSウイルス / 来日渡航者数 / 気候 / 流行時期 / 全国調査 / 新型コロナウイルス感染症 / 流行減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に全国11カ所でRSウイルスの検体調査を行ったが、新型コロナウイルス流行の影響で、本州ではほとんどRS ウィルスの流行が見られなかった。唯一、沖縄県のみ、10月から12月にかけてRSウイルス流行があった。沖縄におけるRSウイルスの流行時期は、通常5月から9月であるが、2020年は流行時期が著しくずれたことが観察され、新型コロナの影響が考えられたが、詳細な原因は不明である。合計90名の患者より検体を採取し、66件がリアルタイムPCRで型別ができ、すべてB 型RSウイルスであった。Gタンパク第二可変領域の遺伝子シークエンスを行ったところ、これらの株はすべてほぼ一つのクラスターに集積した。これら2020年の株は、2019年の流行株とは異なっていた上、BLASTサーチにより近縁の海外株を検索しても、96%以上の相同性をしめす株は登録されていなかった。 新型コロナウイルスの流行以前に、日本のRSウイルスの流行時期が近年冬から夏にシフトしてきている原因について、疫学的な側面から解析を実施した。RSウイルスの流行時期が異なる沖縄県を除く日本の46都道府県の4年間(2014-2017)の流行開始週、海外からの渡航客数、気象データをそれぞれ公表データから収集し、マルチレベル混合効果回帰分析を用いて関連性を定量化した。その結果、海外からの総渡航客が1人(人口10万人あたり)増えるごとに、日本のRSウイルスの流行開始週が0.02% 早まることが判明した。さらに、気温や湿度が高くなることも、それぞれ0.30%、0.18% の流行開始週の早期化に寄与していた。日本のRS ウイルスの流行時期の変化の原因が、これまで全く分かっていなかったが、我々の解析によって、温暖化に加えて、海外からの渡航客数が大きな要因を占めることが示唆された。この結果は、英文国際誌と、海外学会(オンライン)で発表した。
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Research Products
(4 results)