2022 Fiscal Year Research-status Report
石綿関連悪性中皮腫の次世代シークエンスで同定した融合遺伝子の発癌・治療標的性解析
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18K10046
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
嘉数 直樹 九州工業大学, キャンパスライフ支援本部, 特任教授 (20264757)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、悪性中皮腫症例において発癌のドライバー遺伝子と考えられる融合遺伝子が続々と同定されてきた。これらの融合遺伝子は、ALK融合遺伝子群(ALK-EML4、ALK-TPM1、ALK-STRN、ALK-ATG16L1、ALK-NBEA)とEWSR1・ATF1融合遺伝子群(EWSR1-YY1、EWSR1-ATF1、ATF1-FUS)とに主に分けられる。このなかでALK-EML4融合遺伝子は肺癌の原因遺伝子としても知られている。ALK融合遺伝子陽性肺癌に対しては、ALKチロシンキナーゼ阻害薬が高い治療効果を示すことが確認されており、既に5種類の阻害薬が承認されている。これらの阻害薬は、上述のALK融合遺伝子陽性悪性中皮腫においても奏功する可能性が期待される。また、最近では、稀な多嚢胞性腹膜中皮腫の症例において、TNS3-MAP3K3、ZFPM2-ELF5融合遺伝子も同定されている。 これらの融合遺伝子を形成するパートナー遺伝子の片方と別の遺伝子との間の融合遺伝子も悪性中皮腫において発癌に関与している可能性があり、我々は悪性中皮腫細胞株をRNA-seq解析で改めて網羅的に探索した結果、先に見出されていたALK融合遺伝子2種類(ALK-SDC1、ALK-RAB3B)以外にFUS融合遺伝子が2種類(FUS-FTH1P8、FUS-RP5-857K21.4)、TPM1融合遺伝子が4種類(TPM1-PCBD2、TPM1-TPM2、TPM1-RP5-857K21.4、TPM1-CTD-2165H16.1)、EML4融合遺伝子が1種類(EML4-SNX7)、TNS3融合遺伝子が1種類(TNS3-RP11-93K22.13)、それぞれ見い出された。特にFUSは様々な腫瘍において発癌に関与していると考えられる融合遺伝子を形成していることが知られており、注目される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年1月から2023年2月頃にかけて相次いで襲来した新型コロナウイルス感染症の第6波~第8波の感染流行下において対策業務に時間を割かれ、研究活動に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度にあたるので、研究の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルス感染症対策業務に時間を割かれ、物品費が思うように執行できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度も主に物品費に充てる使用計画である。
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