2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of mechanisms of late-onset increase in hepatic tumor by gestational exposure to arsenic focusing on epithelial mesenchymal transition
Project/Area Number |
18K10061
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
鈴木 武博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (60425494)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ヒ素 / 妊娠期曝露 / 後発影響 / 肝実質細胞 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞の遊走、浸潤能に関与する上皮間葉転換をキーワードに、それが妊娠期ヒ素曝露による仔世代(F1)及び孫世代(F2)の後発的な肝腫瘍増加メカニズムにどのように関与するのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、妊娠期ヒ素曝露したC3Hマウスの孫世代(F2)の肝実質細胞と肝星細胞において網羅的遺伝子発現解析から後発的な肝腫瘍増加メカニズムを検討した。妊娠期ヒ素曝露したC3HマウスF2を74週齢で解剖後、前年度までに確立したコラゲナーゼ灌流及び密度勾配遠心法により単離した肝実質細胞と肝星細胞からRNAを抽出し、RNA-seqにより解析した。対照群とヒ素曝露群を3サンプルずつTruSeq stranded mRNA LT Sample Prep Kitでライブラリーを調製後、Transcriptome Sequencingをおこなった。得られたシークエンスデータをHisat2でmm10にマッピングし、StringTieで発現量を定量した。Gene Ontologyの結果、妊娠期ヒ素曝露したF2の肝実質細胞では、主に加水分解酵素活性や金属イオン結合に分類される遺伝子が発現変化していることが示された。それらの分類グループの中でのリアルタイムPCRによるバリデーションの結果、より詳細な機能に着目すると、代謝、酸化ストレス、細胞の浸潤性への関与が報告されている遺伝子の発現が対照群と比較して有意に変化していることが確認された。また、The Cancer Genome Atlas(TCGA)に登録されているデータを用いたカプランマイヤー曲線から、それらの遺伝子発現量と生存率に、有意な関連性が認められた。以上の結果から、肝実質細胞におけるこれらの遺伝子発現変化は、妊娠期ヒ素曝露によるF2の後発的な肝腫瘍増加メカニズムに関与する可能性が示唆された。
|