2019 Fiscal Year Research-status Report

ウイルス性肝細胞癌の早期診断の徹底と非B非C型肝細胞癌のサーベイランスへの挑戦

Research Project

Project/Area Number	18K10065
Research Institution	Tottori University
Principal Investigator	岡野淳一鳥取大学, 医学部, 講師 (00343278)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	的野智光鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60571841) [Withdrawn] 永原天知鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00548860)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords	肝細胞癌 / サーベイランス / 糖尿病 / Fib-4 index
Outline of Annual Research Achievements	鳥取県内の拠点8病院において2018年度に初発肝細胞癌（HCC）と診断した149例の情報収集とデータ解析を行った。成因は、B型肝炎ウイルス（HBV）、未治療のC型肝炎ウイルス（HCV）、HCV (DAA-SVR)（DAA；直接作用型抗ウイルス薬、SVR；持続的ウイルス陰性化）、HCV (IFN-SVR)（IFN；インターフェロン）、非B非C型（NBNC） (non-ALD)（non-ALD；非アルコール性）、NBNC (ALD)（ALD；アルコール性）に分類した。HBV 29例（19.5%）、HCV 16例（10.7%）、HCV (DAA-SVR) 10例（6.7%）、HCV (IFN-SVR) 7例（4.7%）、NBNC (non-ALD) 52例（34.9%）、NBNC (ALD) 33例（22.1%）、HBV+HCV 2例（1.3%）であり、NBNC HCCが57%と過半数を占めた。背景因子は、平均年齢75.2歳、男性70.5%、肝硬変合併36.9%、飲酒歴あり35.1%、喫煙歴あり49.0%、高血圧合併66.0%、糖尿病合併34.2%、脂質異常症合併21.1%、脂肪肝合併23.6%、肥満合併23.1%、平均BMI 22.8であった。平均AST・ALTは59.9 U/L・40.4 U/L、平均血小板数17.6 x 104/microL、平均Fib-4 index（年齢［years］×AST［U/L］/血小板［10の9乗/L］×√ALT［U/L］） 5.35、AFP平均値・中央値15540.8・9.0 ng/mL、PIVKA-II平均値・中央値3439.3・206 mAU/mL、最大腫瘍径平均値・中央値は4.6 cm・3.5 cmであった。NBNC (non-ALD)は糖尿病を46.2%、脂質異常症を37.3%と高い生活習慣病の合併率だった。HCV (DAA-SVR)とHCV (IFN-SVR)以外の成因のHCCは、腫瘍マーカー高値で平均腫瘍径が大きく、HCCは早期診断されていなかった。全症例のサーベイランス率は28.2%（42/149例）だった。成因別には、HBV 55.2%（13/29例）、未治療HCV 18.8%（3/16例）、HCV (DAA-SVR) 90.0%（9/10例）、HCV (IFN-SVR) 57.1%（4/7例）、NBNC (non-ALD) 9.6%（5/52例）、 NBNC (ALD) 9.1%（3/33例）、HBV+HCV 100.0%（2/2例）であった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason NBNC (non-ALD) HCCのサーベイランス対象患者の設定を試みるため、糖尿病を合併したNBNC (non-ALD) HCC 24例の特徴を検討した結果、平均HbA1c 7.1%、平均血小板数16.5 x 104/microL、平均Fib-4 index 3.63であった。NBNC (non-ALD) HCC 52例中、糖尿病合併は46.2%（24/52例）であり、糖尿病かつFib-4 index 3.00以上は28.8%（15/52例）、糖尿病かつFib-4 index 2.67以上は34.6%（18/52例）を含有していた。以上の結果から、NBNC (non-ALD) HCCのサーベイランス対象を、「Fib-4 index 3.00以上の糖尿病患者」とすることにより、NBNC (non-ALD) HCC全体の約3分の1を早期診断できる可能性が分かったためである。
Strategy for Future Research Activity	当院の糖尿病専門医と協力して、Fib-4 index 3.00以上の糖尿病患者を対象としたHCCサーベイランスをと実施することにより、早期診断されるNBNC (non-ALD) HCCの増加を目指す。
Causes of Carryover	肝炎ウイルス検査啓発活動費を、鳥取県肝疾患相談センターの活動費用など他の財源も使用したことにより予定より低い金額で抑えることができたことや、研究補助員への謝金が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度においては、新型コロナウイルス感染の影響で十分な啓発活動や学会参加が行えない可能性があるが、可能な範囲内で活動経費を使用していく予定である。