2020 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス性肝細胞癌の早期診断の徹底と非B非C型肝細胞癌のサーベイランスへの挑戦
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18K10065
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 淳一 鳥取大学, 医学部, 講師 (00343278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的野 智光 鳥取大学, 医学部附属病院, その他 (60571841) [Withdrawn]
永原 天知 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00548860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / サーベイランス / 糖尿病 / Fib-4 index |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥取県内の拠点7施設において2019年度に初発肝細胞癌(HCC)と診断した114例の情報を収集し、データ解析を行った。成因は、B型肝炎ウイルス(HBV)、未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)、HCV (DAA-SVR)(DAA;直接作用型抗ウイルス薬、SVR;持続的ウイルス陰性化)、HCV (IFN-SVR)(IFN;インターフェロン)、非B非C型(NBNC) (non-ALD)(non-ALD;非アルコール性)、NBNC (ALD)(ALD;アルコール性)に分類した。 HBV 22例(19.3%)、HCV 15例(13.2%)、HCV (DAA-SVR) 8例(7.0%)、HCV (IFN-SVR) 4例(3.5%)、NBNC (non-ALD) 35例(30.7%)、NBNC (ALD) 30例(26.3%)であり、NBNC HCCが57.0%と過半数を占めた。背景因子は、平均年齢73.6歳、男性81.6%、肝硬変合併45.6%、飲酒歴あり47.4%、喫煙歴あり55.5%、高血圧合併54.5%、糖尿病合併36.8%、脂質異常症合併18.1%、脂肪肝合併14.7%、肥満合併22.1%、平均BMI 22.8であった。 平均AST・ALTは60.6 U/L・41.0 U/L、平均血小板数17.1 万/microL、平均Fib-4 index(年齢[years]×AST[U/L]/血小板[109/L]×√ALT[U/L]) 4.63、AFP平均値・中央値2300.4・13.6 ng/mL、PIVKA-II平均値・中央値35423.5・194 mAU/mL、腫瘍径平均値・中央値は4.4 cm・3.1 cmであった。 NBNC (non-ALD)は糖尿病を48.6%、脂質異常症を38.7%と高い生活習慣病の合併率だった。HCV (DAA-SVR)以外の成因のHCCは、腫瘍マーカー高値で平均腫瘍径が大きく、HCCは早期診断されていなかった。全症例のサーベイランス率は32.5%(37/114例)だった。成因別には、HBV 50.0%(11/22例)、未治療HCV 20.0%(3/15例)、HCV (DAA-SVR) 100.0%(8/8例)、HCV (IFN-SVR) 50.0%(2/4例)、NBNC (non-ALD) 20.0%(7/35例)、 NBNC (ALD) 20.0%(6/30例)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NBNC (non-ALD) HCCのサーベイランス対象患者の設定を試みるため、糖尿病を合併したNBNC (non-ALD) HCC 35例の特徴を検討した結果、Fib-4 index 2.67以上は31.4%(11/35例)であった。この結果から、NBNC (non-ALD) HCCのサーベイランス対象を、「Fib-4 index 2.67以上の糖尿病患者」とすることにより、NBNC (non-ALD) HCC全体の約30%を診断できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当院や地域の糖尿病専門医と協力して、Fib-4 index2.67以上の糖尿病患者を対象としたHCCサーベイランスを実行することにより、NBNC (non-ALD) HCCの早期診断を目指す。
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Causes of Carryover |
肝炎ウイルス検査啓発活動費を、鳥取県肝疾患相談センターの活動費用など他の財源も使用したことにより予定より低い金額で抑えることができたこと、新型コロナウイルスの影響で啓発活動や学会活動がオンライン中心となり旅費の使用が激減したこと、研究補助員への謝金が発生しなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)