2019 Fiscal Year Research-status Report
住民検診の結果から考察する脂肪酸結合タンパクのメタボリック症候群への臨床応用
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18K10094
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
榎本 美佳 久留米大学, 医学部, 講師 (10360281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住民検診 / メタボリック症候群 / 脂肪酸結合タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
田主丸検診に関して平成30(2018)年は年間をとおして10年ごとの住民検診を2009年とほぼ同様な内容で行った。既往歴調査、起床・就寝時刻聴取、身体測定、握力測定(利き腕)、5m歩行時間、栄養調査、血圧測定、血液・尿検査(血計・肝腎機能の一般生化学のほか、空腹時血糖値・空腹時インスリン値・HbA1c、脂質代謝、高感度CRP、脂肪酸結合タンパクであるA-FABP、IGF-1、成長ホルモン、尿中アルブミン、尿中ナトリウム排泄量など)、心電図検査、心エコー、頸動脈エコー、血管年齢、認知機能検査(MMSE)、ストレス調査などを検診を受診したすべての対象者1363名に施行した。検診受診者に検診の結果および今後の方針(生活習慣の改善点や専門医受診の必要性など)について報告し、各個人へ個別に郵送した。平成31から令和元年(2019)は1363名のデータをすべての項目についてコンピュータ管理し、データ保存を行った。宇久町検診に関しても平成30年は16回目227名、令和元年は17回目227名の対象者に既往歴調査、起床・就寝時刻聴取、身体測定、握力測定、栄養調査、血圧測定、血液・尿検査(血計・肝腎機能の一般生化学のほか、空腹時血糖値・空腹時インスリン値・HbA1c、脂質代謝、高感度CRP、脂肪酸結合タンパクであるA-FABP、IGF-1、成長ホルモン、尿中アルブミン、尿中ナトリウム排泄量など)、心電図検査、心エコー、頸動脈エコー、認知機能検査(MMSE)、ストレス調査などを施行した。検診の結果および今後の方針(生活習慣の改善点や専門医受診の必要性など)について報告し郵送した。以上のように平成30年は検診を行うことによりデータサンプル数を増やし、令和元年はデータベース化をしていくことを行った。すべてデータベース化され、解析が行えるようにエクセル化も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年は年間を通して田主丸検診を行い、その間である7月に宇久町検診を実施した。令和元年7月においても宇久町検診を実施した。令和2年7月も宇久町検診は新型コロナウイルス感染の状況にはよるが実施を検討している。サンプルサイズを増やしバイアスを小さくすること、メタボリック症候群の進展の有無を調査し予後調査率を100%とし疫学研究としての精度を上げることに重点をおいた。さらに、データベース化をすべて行ったため、解析をすぐにでも行える状態になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
検診のサンプルがすべてデータベース化を行ったため、脂肪酸結合タンパクであるA-FABPについての分析を行う。まず、横断研究においてA-FABPの分布、男女別・年齢別の違いを図式化する。A-FABPと相関する変量のと散布図を作成する。A-FABPを目的変数として身体変量(血圧、身長体重、ウエスト周囲径、握力)、脂質、インスリン抵抗性、メタボリック症候群の有無、睡眠時間、認知機能、血管年齢、不整脈の有無、心拍数、心駆出率、頸動脈内膜中膜厚などを従属変量として単および多変量解析を行う。さらにメタボリック症候群のコンポーネントの数とA-FABPの平均値の関連を分析する。 A-FABPとメタボリック症候群へ臨床応用ができるかの研究目標であるため、横断研究に加え縦断研究を行う。横断研究の対象者でメタボリック症候群でない対象者を抽出する。10年間にメタボリック症候群へ罹患した割合を求める。ロジスティック回帰分析にてメタボリック症候群となるオッズ比を求め、A-FABPが1SD上昇するとメタボリック症候群となるオッズ比も求める。メタボリック症候群進展にいたるA-FABP値をROC曲線から求め、カットオフ値を設定し、メタボリック症候群の発見に臨床的に応用できるか検討する。また、メタボリック症候群から発展する動脈硬化性疾患の発症をCocの比例ハザードモデルを用いハザード比を求めたり、A-FABP値で群分けし、累積発症を描くことなどをする。 以上の解析結果から得られるA-FABPのデータは横断かつ縦断研究からの結果であるため臨床で利用可能な指標となることが考えられる。
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Causes of Carryover |
国内および国際学会発表を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染により学会発表が延期や中止となり、使用できなかった金額である。おおむね使用計画通りであると判断している。
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