2021 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of asymptomatic nervous effects by low-dose manganese exposure
Project/Area Number |
18K10100
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岩田 豊人 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (00321894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 恵理 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (30778395)
村田 勝敬 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80157776) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手のふるえ / 手指振戦 / マンガン / 鉛 / カドミウム / ヒ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
マンガンは多種のマンガン含有酵素の機能のため生存に必須の金属であるが、曝露量が多いと大脳基底核に集積してパーキンソン病様症状をおこすことが知られている。このため許容濃度も手のふるえを含む神経機能への影響にもとづいて設定されているが近年欧米で曝露予防のための基準見直しが行われ、日本でも制度の見直しが進められようとしていた。そこで、(1)周波数に注目した手のふるえ測定にもとづいてマンガンの特異的な影響を検出して運動機能障害のメカニズム探求の糸口にすること、(2)マンガン作業者の血中濃度と気中濃度を測定して詳細な曝露評価をおこなうこと、(3)量-影響関係の検討をおこなうこと、が本研究で計画された。しかし新型コロナウイルス感染症の流行により調査の実行が困難となり、特に予定された曝露評価 (2)は計画どおりには実現できなかった。それでも2事業所の協力を得てマンガン作業者を含む男性72名(年齢41±9歳)について、立位重心動揺、手のふるえ、単純反応時間の測定をおこなうことができた。 対象者の健康診断時の採血中マンガン濃度(中央値、5-95パーセンタイル)は13.0 (7.5-19.3) ng/gであった。この濃度と当日測定された重心動揺および反応時間との間に有意な関連は認められなかったが、年齢、BMI、喫煙、飲酒、睡眠時間、事業所、他の金属(カドミウム、水銀、鉛、砒素、クロム)を考慮してもマンガン濃度が上昇すると利き手で6-10 Hz(特に7 Hz)のふるえが増加する関連が認められた。この関連にもとづいて算出されたベンチマークドースは8.4 ng/gであった。 7 Hzの手のふるえがマンガン曝露の特異的な影響指標であることが示唆されたので、本来本研究が予定していた綿密な曝露評価のもとでの量-影響関係の推定、他の背景要因との交互作用を利用したメカニズム探求において研究の進展が期待される。
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