2019 Fiscal Year Research-status Report
学童を核とした非医薬的公衆衛生対策(NPIs)のインフルエンザ制御効果の検証
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18K10101
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 非医薬的公衆衛生対策 / 学童 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ予防はワクチン接種を基本とし,手洗い等の「非医薬的公衆衛生対策」が重要とされている。本研究はインフルエンザ発症登録システムにより流行状況を把握できる大規模離島の佐渡市をフィールドとし,伝播の中心的役割を担っている小児に焦点を当て,小児への手洗い等の「非医薬的予防行動」介入の個人予防効果及び地域の流行拡大防止効果を検証することを目的とした。2年目にあたる今年度は小学校におけるパイロット研究としての介入研究の実施に向けて,まずフィールド内の医療機関の医師及び教育委員会と連携し,介入内容を検討するとともに介入校の選定を行った。研究協力の了承が得られた小学校2校を学校単位で「手洗い+手指消毒」群(校),「手洗い+手指消毒+緑茶飲用」群(校)とし,2020年1月より介入を開始した。しかし,新型コロナウイルス感染症対策として2月28日に全国の小中学校,高校等に臨時休校が要請され,佐渡市内の小学校もインフルエンザ流行期間中の3月4日から一斉休校となったため学校における介入は中断せざるを得なくなった。さらに新型コロナウイルス対策として手洗いや手指消毒の積極的実施が全国的に広がったことにより,本研究における介入効果の検証は極めて難しい状況になったと考える。一方,佐渡市内の学校の一斉休校後,我々が運営している佐渡市内医療機関連携によるインフルエンザ発症登録システムにおけるインフルエンザ発症登録数が急速に減少した。新型コロナウイルスに対する感染不安による受診控えに伴う診断数の減少を疑ったが,佐渡市内の主要2病院の協力を得て把握した週ごとの外来患者数の推移からは,小児科受診者数はやや減少しているものの,外来受診者の全体数には明らかな減少は認められなかった。以上より,インフルエンザの発生自体が減少した可能性が考えられ,学校休校による地域におけるインフルエンザ流行抑制効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パイロット研究の介入開始までは順調に進展したが,2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いフィールド内の小学校も3月4日より一斉休校となり,介入を中止せざるを得なくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況の項に遅れの理由として記載した通り,新型コロナウイルス感染症対策として介入校を含む小学校の一斉休校が実施され,介入の中断を余儀なくされた。そのため介入研究の成果に基づく3年目以降の研究に関して研究計画の見直し,変更が必要な状況となっている。さらに新型コロナウイルス対策として世界的に手洗いの実施が推奨されており,本研究の研究目的である非医薬的公衆衛生対策の効果評価にも影響が生ずる可能性があり,介入内容の再考も検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策としてインフルエンザシーズン中に行われた小学校の一斉休校により介入研究が中断し,介入用物品費が計画通り執行できなかった。さらに3月中に開催を予定していた入力・集計作業説明会も延期となり,継続調査分も含めて実施を予定していた調査票の入力,集計作業に関する謝金の執行にも影響が生じた。次年度は研究計画の見直しも要することから,可能な限り早期に関連機関と調整を行い,執行計画も含めて検討する。
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