2018 Fiscal Year Research-status Report

被災の回復期における虚弱の増悪・緩衝要因の解明と、地域特性に応じた虚弱予防の実践

Research Project

Project/Area Number	18K10108
Research Institution	Iwate Medical University
Principal Investigator	坪田恵 (宇津木恵) 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20419998)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords	被災 / 高齢者 / 虚弱 / 中長期的被害 / 健康支援環境
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、被災高齢者の被災による中長期的被害の推移を明らかにし、「被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響」および「地域の健康支援環境の回復と虚弱予防」の関連について、被災直後より岩手県の被災地に於いて継続的に実施されている被災地域住民追跡研究を用いて縦断的に検討する。さらに現在被災地で行われている社会活動や社会支援、保健活動に関わる情報を行政区毎に収集、既存の研究データとリンクを行い、虚弱や健康行動への影響評価を行うことで、被災地の地域特性に適合した具体的＆効果的な虚弱予防アプローチ法の提唱、実践を行うことを目的としている。今年度は、発災直後から毎年取っているResearch project for prospective Investigation of health problems Among Survivors of the Great East Japan Earthquake and Tsunami Disaster(RIAS Study)データの整理を行うとともに、地域活動や取り組みに対する情報収集を行った。地域活動については、現地職員とも連携し実際の取り組みに関する資料を入手、現在、データの整理を行っているところである。また、特に高齢者において、問題となっている事項について、現地に入る医療関係者からの聞き取りによる情報収集を行った。今後は引き続き既存データからの「被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響」に関する論文執筆を行うとともに、次年度のRIAS調査に併せ、現在の調査票に足りない健康支援環境に関する項目を補完した調査票を作成、調査実施、収集を行う予定である。成果については、妊娠・出産を挟んだだめ、学会での発表はせず、被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響について、既存のデータを元に解析、国際雑誌への論文発表を行った。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 1: Research has progressed more than it was originally planned. Reason 当初予定していたとおり、研究Ⅰ）被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響については、論文発表を終えた。今後はさらに年数を追加して、被害状況の変化が虚弱に及ぼす要因について多面的に検討を行い、エビデンスの蓄積を行っていく。また、地域に関する情報収集についても、現地の専門家との連携のもと、情報収集が行われ、データの整理の段階まで来ているところである。一方で、同じ被災地での地域特性や専門家の関わり差が認められており、それぞれの地域に応じた対応の仕方について、現在種々の機関と相談の下、検討を行っているところである。
Strategy for Future Research Activity	研究Ⅰ）被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響については、③ 被災による中断から回復できない、一部しか回復できなかった人の特徴について、RIASデータだけでなく、同時期に行っている別データからの検討も併せて行って行く予定である。他方、研究Ⅱ）地域の健康支援環境の回復と虚弱予防については、行政区単位の地域の影響を加味した検討を行うため、引き続き地域データの整理を行うとともに、現在の調査票に足りない健康支援環境に関する項目を補完した調査票の作成準備を進めている。こちらは、倫理審査会へ諮る必要があるため、その準備も併せて行い、準備ができ次第、調査時期に合わせて調査を実施する予定である。
Causes of Carryover	当初予定していた学会発表を妊娠・出産を挟んだだめ、見送ったため、旅費が余った。また、雇用については夏頃からの採用を予定していたが、上記理由より年度末からの採用となったため、来年度の人件費での使用を予定している。他方、被災の中長期的被害が虚弱へ及ぼす影響について、今年度は、既存のデータを元に解析、国際雑誌への論文発表を行ったが、引き続き国際雑誌への論文準備を進めており、今年度余った金額は次年度の英文校正等にまわす予定である。