2020 Fiscal Year Research-status Report
新潟県の中学生における脂肪肝指数とインスリン抵抗性に関する地域研究
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18K10111
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
西村 理明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20343535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪肝指数 / 小児 / 肥満 / インスリン抵抗性指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度と2020年度に新潟県津南町にある中学校に在籍し、健康診断に参加した中学3年生110名のうち同意が得られた101名(男児56名、女児45名)を対象とした。肥満度が20%以上をOBとし、腹囲が80cm以上あるいは腹囲身長比が0.5以上を有する者を内臓脂肪蓄積あり(visceral fat: VF)とした。また、インスリン値、血糖値からHOMA-Rを計算し2.5以上をIRと定義した。脂肪肝指数(fatty liver index:FLI)は腹囲、BMI、AST、ALT、γ-GTP、中性脂肪を使用して計算し60以上を脂肪肝(fatty liver: FL)と診断した。また、男児と女児に分けて、上記の指標に関してMann-Whitney検定にて比較し、OB、VF、IRとFLの割合に関してx2検定を用いて検討した。さらに肥満度、BMI、HOMA-RとFLIを使用し、各因子に関してSpearmanの順位相関係数を用いて相関関係の有無を検討した。 対象のHOMA-R[以下、中央値(25%-75%)]は2.4(1.7-3.2)、FLI 2.7(1.8-4.8)、BMI 19.5(17.9-21.4) kg/m2、腹囲68.6(65.9-73.6)cm、肥満度-1.7(-9.4-8.2)%であった。また、HOMA-RとFLIは男児と女児間に有意差を認めなかったが(p=0.223、p=0.420)、VFは全体の13.9%で認め、男児と比較して有意に女児で多かった(7.1%/22.2%、p=0.029)。一方、OBとIRは全体の11.9%、43.6%に認めたが、男児と女児で有意差を認めなかった(8.9%/15.6%、p=0.306、39.3/48.9%、p=0.333)。FLは全体の3.0%で、男児と比較して女児で有意に多く(p=0.049)、全例ともOB、VF、IRを有していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ渦のために、検診が2020年度は10月まで行われず、データの整理が終了したのが2021年に入ってからとなった。また、町内への立ち入りも以前の様にできず、リモートでの面談等を通して、遅れを取り返そうとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年の研究延長が認められたため、現状の研究体制を維持し、津南町役場、津南町教育委員会と密に連絡をとり、さらに町立津南病院の協力のもと、本研究を継続して、2021年度検診を実施すること、さらに参加してくださる児童の数の増加を目指す。 その上で、得られたデータから、津南町の児童の健康に貢献すべく、コロナ渦における脂肪肝指数の実態、インスリン抵抗性指数の実態を明らかにし、健康指標の改善に寄与することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ渦のために、検診が2020年度は10月まで行われず、データの整理が終了したのが2021年に入ってからとなった。また、町内への立ち入りも以前の様にできず、研究の遂行が遅れている。また、2018年度の検診が4月に行われたため、現時点で2019-2020年度の2年間の生徒のデータのみ測定されており、科学的妥当性を担保できる十分な人数での測定ができていないことも事実である。 このような事情から、津南町役場、津南町教育委員会と密に連絡をとり、さらに町立津南病院にも相談し、本研究の重要性について、繰り返し説明を行ってきた。結果として、2021年度も本研究の継続が許可された。 次年度使用額を利用して、2021年度検診にて、採血項目の測定を行い、解析対象となる児童の数の増加を目指す。その上で、得られたデータから、コロナ渦における脂肪肝指数の実態、インスリン抵抗性指数の実態を明らかにし、津南町の児童の健康指標の改善に寄与することを目指す。
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