糖尿病における循環器疾患リスクマーカーとしての微小心筋障害に関する臨床疫学研究

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K10113
• Research Institution: Nippon Medical School
• Principal Investigator: 大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791) ; 小谷 英太郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10287708) ; 加藤 活人 日本医科大学, 医学部, 講師 (40409157)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 心筋トロポニン / 糖尿病 / 予後予測因子 / 臨床疫学

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本最大級のバイオバンクであるバイオバンクジャパン（BBJ）へ登録されている症例から2型糖尿病を抽出し、保存血清の提供を受け、対象患者の予後予測因子としての心筋バイオマーカーの有用性を明らかにする研究である。
昨年度に続き本年度はさらなる詳細なデータの分析検討として、高血圧を伴う糖尿病患者に焦点を当てて、血清高感度心筋トロポニンT（hs-cTnT）の予後予測能についての分析を行った。
データベースから抽出した1473人の高血圧を伴う2型糖尿病患者（平均年齢62歳、男性61%）をhs-cTnT 14 ng/Lで2群に分割し、予後との関連性をコックス比例ハザードモデルにて検討したところ、全死亡、心血管死亡の両アウトカムについて、hs-cTnT低値群と比較しhs-cTnT高値群において有意に高い調整ハザード比（HR）を認めた（2.18, 95%CI 1.65－2.89および5.14, 95%CI 2.84－9.31) 。hs-cTnTを3分位に分割（=<4 ng/L, 5－9 ng/L, >=10 ng/L）し同様の検討を行っても、低位群と比較し中位群および高位群において全死亡に対する有意な調整HRの上昇を認めた（1.76, 95%CI 1.13－2.75および2.97, 95%CI 1.91－4.61）。
本年度の検討にて、高血圧を伴う2型糖尿病におけるhs-cTnTは予後予測マーカーとして有用である可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2年目の本年度において主解析まで進める予定であったため、この点において順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

最終年度の3年目は、より詳細な補足的分析を進めるとともに学会発表および論文作成から投稿まで完了すべく研究を推進する。

Causes of Carryover

本年度末までに当該研究成果発表のための学会参加を検討していたものの、大学学事教育等他のエフォートとの調整が難航したため、予定の学会参加を見送った。そのため旅費で計上した一部について次年度繰り越しとなった。次年度においては学会参加費としての使用を計画している。