2019 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児・小児の原因不明突然死剖検例の網羅的遺伝子解析
Project/Area Number |
18K10119
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
畑 由紀子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (30311674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 尚樹 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10315088)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 原因不明の突然死 / 乳幼児・小児 / エクソーム解析 / スプライシングアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は原因不明の乳幼児6症例(0~1歳、男児4名,女児2名)のエクソーム解析を行った。得られた遺伝子変異についてコンピューターソフトを用いて、病原性の有無の予測を行った。 そのうちの1症例 (1歳、男児)について、チャネル異常症、心筋症、代謝異常症に関連する遺伝子を中心に詳細な検索を行ったところ、次の7つの遺伝子変異が候補遺伝子変異として残った。TTN(スプライス変異体)、GPRC6A×2、SYNE1×2、X染色体上のEBP及びABCB7のミスセンス変異体であった。TTNのスプライス変異体は、ヒト遺伝子変異データベース(Human Gene Mutation Database)においてdisease mutationとして登録され、ClinVarにおいてはConflicting interpretations of pathogenicityとして登録されている。ミスセンス変異体はいずれも変異データベールサイトに登録はないが、コンピューターによる病原性予測では病原性を有する可能性が高度と推定された。TTNはsplice variantであることから、mini-gene constructを作製してスプライシングアッセイを行った。その結果、この変異のあるイントロン (782 bp)がスプライアウトされないイントロン保持となり結果的にフレームシフト変異となることが推測された。次に、7つの遺伝子変異について両親の遺伝子解析を行った。TTNは父親から、2つのGPRC6Aはともに母親から、2つのSYNE1はともに父親から、EBP、ABCB7はともに母親から遺伝していた。ABCB7遺伝子についてはX 連鎖劣性遺伝形式であること及びintolerance geneである。 以上から、本症例の原因不明の突然死にTTN及びABCB7遺伝子変異の関与が推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、乳幼児・小児の原因不明の突然死症例6例について、詳細な病理組織学的検索及び遺伝子解析を行った。1症例については、スプライシングアッセイによる機能解析および家族解析を行うことができたことから、おおむね順調に進展していると思っている
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度同様、当教室で施行された症例を追加すること及び検出されたpathogenic変異体の機能解析を行っていく予定である。本年度は最終年度であるため、これまでの成果をまとめて、学会発表及び論文投稿を行っていく予定である。
|