2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of acute toxicity of drugs by real-time metabolome analysis and multivariate time-series analysis
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18K10122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
財津 桂 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30700546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 由美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (30632707)
井口 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50547502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PESI/MS/MS / Ambient ionization / リアルタイム計測 / in vivo リアルタイム・メタボローム解析 / Data pipeline |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は①探針エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(PESI/MS/MS)によるリアルタイム計測の条件最適化を行い、②得られた多変量データに対する解析用data pipelineの開発を行った。
① 前年度と同様に解糖系、クエン酸回路、尿素回路およびペントースリン酸経路を構成する40成分を対象とし、PESIの上下駆動周期とMSの取り込み時間を最適化した。既報(Zaitsu et al. Anal. Chem. 2018およびZaitsu et al. Anal. Chem. 2016)に従い、ICR雄性マウスをイソフルラン麻酔下、肝臓を露出した後、特殊溶媒カップを生体用接着剤で固定した。分析時は特殊溶媒カップに、ヘパリン含有50%EtOH溶媒を添加した。オフラインの条件で駆動周期およびMSの取り込み時間を最適化した結果、全てのセグメントでピークを取りこぼすことなく、検出することが可能となった。最適化した条件を用いて、生きているマウスの肝臓についてリアルタイム分析を行った結果、40成分のメタボライトの変動を20分間、リアルタイムで観測することに成功した。
② 産業技術総合研究所・井口 亮 主任研究員と共同で、Rを用いたdata pipelineを開発した。本data pipelineでは、多変量解析(PCA、PLS-DA)によるscoreおよびloading plotsの作成、PLS-DAによるVIP値の算出、VIP値に基づくクラス分け(Zaitsu et al. Life Sci. 2018)を行い、FDR補正を考慮した有意差検定を全自動で実施することが可能である。上記のデータ解析はわずか1分程度で完了し、FigureやTableを自動生成することが可能となった。現在、さらに時系列データの解析を行うためベイズ統計モデリング解析系を構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は解糖系、クエン酸回路、尿素回路およびペントースリン酸経路を構成する40成分を対象とし、PESIの上下駆動周期とMSの取り込み時間を最適化することで、実際に生きているマウスの肝臓についてリアルタイム分析を行った。その結果、40成分のメタボライトの変動を20分間リアルタイムで観測することに成功した。特に、①データの取りこぼしが生じない最適条件を見出したことに加え、SRM transitionの自動時間割り当てを行うソフトを開発したことが大きな成果である。 一方で、得られた多変量データの解析に必須なdata pipelineの開発にも成功した。本data pipelineはRを基礎に開発したものであり、本data pipelineによって、わずか1分程度で多変量解析やFDR補正を考慮した多群間有意差検定、Figureなどの作成を自動で行うことが可能となった。現在、本解析法に関する論文を投稿中である。得られた上記の研究成果は国際学会(ASMS)や国内学会において発表を行うと同時に、論文発表も行った。 また、研究代表者がオーガナイザーとなり、国内学会でシンポジウムを開催し、本研究成果をシンポジウムにおいても発表した。 さらに、研究代表者がEditorとなり、国内・国外の研究者の執筆協力を得て、本分析手法に関する英文書籍をElsevierより出版したことに加え、本手法に関する特許(特許第6586716号)を取得することにも成功した。以上の研究成果から、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発したdata pipelineを用いることで、多変量データの解析が極めて迅速かつ容易に行うことが可能となった。よって今後、リアルタイム計測で得られた多変量データの解析が極めて容易かつスムーズとなり、同時に結果の解釈も迅速になることが強く期待されることから、研究の推進速度がより一層高まると考えている。さらに現在、時系列データの解析のために、ベイズ統計モデリングを利用した解析系も開発中であり、今年度に開発したdata pipelineと組み合わせることで、より強力な解析手法を構築できるものと考える。 さらに、本研究で開発した解析技術の汎用化を図るために、GUIを用いたソフトウェアの実装も予定している。これらのBioinformatics手法の開発を大きく前進させたことで、今後、乱用薬物などの毒性発現機序解析などに本手法をapplyしていく予定である。特に現在、アセトアミノフェンの活性代謝物であるNAPQIを用いた肝障害モデルマウスへの実験を計画しており、本手法のfeasibilityを実証していく予定である。 また、今年度も前年度と同様に、本研究課題の分担研究者である名古屋大学・林講師および産業技術総合研究所・井口主任研究員との連携のおかげで、予想以上に研究が進展している。次年度も、引き続きリアルタイム計測手法と解析技術の高度化について、より一層、鋭意的にチャレンジしていく。
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Causes of Carryover |
研究の遂行に必須な質量分析計のワークステーションが作動不良を起こすようになり、研究の遂行に支障が生じたため、急遽、当該ワークステーションについて2年間のリース契約を締結し、調達する必要が生じたため。
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[Presentation] Intact metabolomics by PESI/MS/MS and its application to metabolic profilingof acetaminophen-induced acute hepatic injury model mice2019
Author(s)
Tomomi Ohara,Kenta Kondo, Tasuku Murata, Tetsuya Ishikawa, Akira Ishii, Hitoshi Tsuchihashi,Koretsugu Ogata, Yumi Hayashi, Kei Zaitsu
Organizer
67th ASMS Conferenceon Mass Spectrometry and Allied Topics. (2019/6/5, Atlanta, GA)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Repeatability and practicality of PESI/MS/MS-based in vivo real-time monitoring system for hepatic/brain metabolites in living mice2019
Author(s)
Kei Zaitsu, Yumi Hayashi, Tasuku Murata, Kazumi Yokota, Tomomi Ohara, Hitoshi Tsuchihashi, Akira Ishii, Koretsugu Ogata, Hiroshi Tanihata
Organizer
67th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics. (2019/6/6, Atlanta, GA)
Int'l Joint Research
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