2019 Fiscal Year Research-status Report
アルコール性突然死の発症機構の解明~致死性不整脈の法医学的診断法の確立に向けて
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18K10123
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小澤 周二 三重大学, 医学系研究科, 講師 (20379944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
関島 秀久 三重大学, 医学系研究科, 助教 (60792447)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルコール性臓器障害 / 心エコー / RT-qPCR / ウェスタンブロット / 蛍光免疫染色 / 突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコール摂取は突然死を惹起するが、その発症機構は不明である。また、これまで突然死に関する法医診断のために様々な手法が試みられているが、突然死の確実な法医診断方法はない。そのため、アルコール性突然死の法医診断のために、その発症機構の解明は、困難ではあるが非常に重要で早急に成し遂げなければならない研究課題である。そこで、我々はマウスモデルを用いてアルコール性突然死を惹起する機構を解明し、その機構のキータンパク質を証明することで、アルコール性突然死の診断法の確立を試みている。 本研究では、アルコール投与モデルマウスを用いて、心機能の解析を行うとともに、心機能に影響を及ぼす中心的役割を担う分子について解析を行っている。昨年度には、7週齢のC57BL/6Nマウスを用いて、水の代わりに10%アルコール水を6週間投与することで慢性アルコール投与マウスモデルを確立した。また、心エコーを用いてアルコール投与動物モデルにおける心機能の解析を行ったところ、慢性アルコール投与マウスモデルにおいて心機能に影響が生じていることが明らかとなった。そこで、本年度は、慢性アルコール投与マウスモデルの心臓を摘出し、摘出した心臓組織を用いて、アルコール摂取時に心機能に影響を与える分子に着目し、影響を与える中心的役割を担うと考えられるキータンパク候補タンパク質を検討した。さらに、これらのキータンパク候補タンパク質について、RT-qPCR法およびウェスタンブロット法を用いて量的な解析を行い。その候補分子の絞り込みを行った。 今後は、絞りこんだ候補分子について、蛍光免疫染色を用いて分析を行い、質的に、すなわち存在部位等について詳細に解析を行い、アルコールの心機能への影響について詳細な解析を行うとともに、実際にアルコール性突然死が疑われる解剖事例において、発現が変動しているかを確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性アルコール摂取が心機能にどのような影響を及ぼすのかについて検討をするためのアニマルモデルが確立され、心機能に影響を与えている根拠となる結果を得ることができている。 また、心機能への影響の中心的役割を担う分子の候補をさらに絞り込むことができている。 したがって、本年度の研究成果としては、次年度に繋がる結果を得ることができている。 今後、これまでに検討した結果やさらなる詳細な解析を行い、アルコール性突然死の発症機構を解明することを目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、アルコール摂取による心機能への影響を生じる中心的役割を担う分子の質的検討を行い、その分子がどのように心機能へ影響を及ぼすのかを解析する。 また、その分子が実際例としてのアルコール性突然死が疑われる解剖例において、どのような変動をしているかを確認する。 それらの結果に基づいて、アルコール摂取時の分子生物学的な影響を解明し、アルコール性突然死の発症機構の解明、ひいてはアルコール性突然死の診断法の確立を目指している。
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Research Products
(2 results)