2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of biological clock alteration by inflammation
Project/Area Number |
18K10135
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60136611)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 死亡時刻推定法 / 体内時計 / 炎症 / Bmal1 / Period / Sirt1 |
Outline of Annual Research Achievements |
重篤な肺炎等の高度の炎症が体内時計に及ぼす影響を解析し、その分子機構を明らかにして、体内時計に基づく死亡時刻推定をより精度の高いものする事が本研究課題の目的である。そこで、30年度は盲腸結紮・穿刺法(CLP)をマウスに施行し、腹膜炎を誘起して、心臓と腎臓の時計遺伝発現に及ぼす影響を解析した。CLP施行24時間後の心臓と腎臓の時計遺伝子発現はシャムマウスにおける時計遺伝子の遺伝子発現パターンとは著しく異なっていた。研究代表者は時計遺伝子に基づく死亡時刻推定にPer2とBmal1の比(Per2/Bmal1 ratio)をパラメータとして用いているが、夜7時における心臓と腎臓のPer2/Bmal1 ratioはシャムマウスのそれに比較して著しく低いことが明らかとなった。しかし、心臓ではBmal1の発現増加に基づく変化であり、一方、腎臓ではPer2の遺伝子発現低下に基づくものであることが分かった。このことは臓器の違いにより時計遺伝子の発現が炎症から受ける影響が異なる可能性を示唆するもと思われるが、心臓と腎臓では時計遺伝子発現の概日性変化に認められる若干の時間的ずれが影響している可能性も否定できない。以上の現象の分子機構を解析するため、時計遺伝子の発現調節に関わることが想定されるSirtuinの発現解析をCLP施行24時間後にreal-time RT-PCRおよびWestern blottingで行ったところ、遺伝子およびタンパク何れにおいても有意な発現上昇が確認された。現在、CLP施行マウスの心臓及および腎臓におけるBaml1とPer2のSirtuinによる脱アセチル化を定量的に解析することを目指して検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度に実施した研究において、CLPが体内時計に及ぼす炎症の影響を解析できるマウスモデルとなり得ることを確認することが出来、31年度はSirtuinのdeacechilase活性とBmal1およびPer2のアセチル化レベルおよび時計遺伝子の発現調節との関係解析へと進展する見通しが立っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)CLP施行マウスにおけるSirtuinによるBmal1とPer2の脱アセチル化のレベルを免疫沈降により解析する。 2)Sirtuinの阻害剤Sirtinolを用いて時計遺伝子の発現に及ぼす影響を解析すると共にBmal1とPer2の脱アセチル化のレベルとの相関を解析する。
|