2021 Fiscal Year Research-status Report
Diversity of autonomic reaction by hand bath application
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18K10141
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀 悦郎 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90313600)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 手浴 / 自律神経 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
手浴は、看護現場で広く用いられている手指清潔保持の技術である。しかし、手浴の効果は手指の清潔保持の他、主観的な快適感を向上させる報告が多数ある。また、手浴による温熱効果は手部のみならず全身に波及することが知られている。このことから、手浴には中枢神経系を介した全身的な効果があると考えられるが、手浴の自律神経系への影響については一定の知見を得ていない。すなわち、手浴により副交感神経活動が亢進したという報告がある一方、手浴により交感神経活動が亢進したという報告がある。この矛盾した方向が混在している理由として、手浴の前の対象者の自律神経活動状態により、手浴の効果が異なる可能性が考えられる。本研究の目的は、手浴前の対象者の自律神経活動を実験的に操作し、手浴の効果を調べることにある。 昨年度までの研究により、暗算負荷により交感神経活動が上昇している対象者に手浴を施すと、交感神経活動が低下することが明らかとなっている。また、安静閉眼状態で交感神経活動が低下している対象者に手浴を施すと、交感神経活動が亢進することが明らかとなっている。本年度は、これらの結果を少数例で確認すると共に、行動学的および生理学的解析を実施した。 行動学的な解析の結果、暗算負荷中に手浴を施した群では、手浴を施さなかった群に比べて暗算の正答率が有意に高値を示していた。この結果は、手浴が脳機能を亢進することを示した初の知見である。 現在、この行動学的知見の裏付けとして、前頭葉の血行動態について、データ収集をすると共にその結果を解析中である。これまでのところ、前頭葉の一部において手浴により酸素化ヘモグロビン濃度の上昇が確認されている。また、手浴が前頭葉の酸素化ヘモグロビン濃度に及ぼす影響には左右差がある可能性が示唆されている。今後は、手浴による脳反応の左右差の意義についても情報を収集し、最終的な報告書につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、被験者の収集にやや難航したため、若干の遅れが称している。 また、学会等で情報収集を行う予定であったが、予定してた学会が次年度に延期となったため、情報収集もやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、脳血行動態の解析を実施するともに、学会(オンライン含む)に積極的に参加し、論文作成のための情報収集を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、予定していた学会への参加費、旅費等を執行しなかったためである。 次年度は、積極的に学会(オンライン含む)等へ参加し、特に前頭葉反応の左右差について情報を収集して、論文発表につなげる予定である。
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