2018 Fiscal Year Research-status Report
輸液実施部位の中枢側から血管外漏出を予防しながら採血するための基礎研究
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18K10149
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小池 祥太郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30553317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 正広 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (60537009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 採血 / 血管外漏出 / 採血部位 / 輸液 |
Outline of Annual Research Achievements |
輸液実施部位の中枢側から採血した場合、採血後に輸液を開始すると高濃度の輸液が採血部位周辺に流れることで血管外漏出を引き起こす可能性がある。すでに、輸液を一時的に止める事で輸液実施部位の中枢側から採血した血液は、血球検査では輸液が影響しない採血データを得られるという知見が得られている。しかし、採血後に血管外漏出を起こす可能性があり、看護技術として安全性を確かなものにしなくては臨床応用できない。そこで、本研究は穿刺した血管に輸液が流れた場合の血管外漏出の予防方法ついて検討することを目的としている。 現在、2段階ある実験過程のうち、<研究段階1>の「輸液実施部位の中枢側で採血した直後に輸液を流すことで、採血した部位の炎症の程度を明らかにする」ための実験を終了した。7週数のWistarラットを使用して行い、尾静脈が細く輸液の血管確保が上手くいかず、予定の対象数を減らしたが実験を遂行できた。現在、得られた組織を10%中性緩衝ホルマリン液で固定中であり、固定が完了次第、ヘマトキシリン&エオジン染色を施し光学顕微鏡で組織の炎症反応を確認する予定である。なお、実験中にも輸液実施部位の中枢側の静脈を穿刺した採血想定部位に末梢から輸液を流すと輸液が採血想定部位からあふれ出してきており、血管外漏出の危険性を肉眼的に観察できている。本実験は<研究段階2>で血管外漏出による炎症を適切に評価可能かを検証する意味もあり、次回の実験に向けて意味あるものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は「輸液実施部位の中枢側で採血した直後に輸液を流すことで、採血した部位の炎症の程度を明らかにする」ことを目的に<研究段階1>を行った。 <研究段階1>で想定していた対象数のデータ収集は行えなかったが、実験そのものは遂行され、結果をだすための必要なデータを収集することができた。得られた組織を10%中性緩衝ホルマリン液で固定終了後、ヘマトキシリン&エオジン染色を施し組織の炎症反応を確認する予定である。平成30年度に行う予定の実験は終えており、現在<研究段階2>に向けてプロトコールを組み立てている段階であり、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は<研究段階1>の結果および実験の経験を経て、<研究段階2>にの「血管外漏出による炎症を予防する採血手技・止血方法を明らかにする」ための実験に移行する予定である。研究段階1で7週数のラットでは、尾静脈の細く血管確保に時間を要したため、12週数以上のラットを使用する。当初の予定通り、採血想定部位を圧迫止血しながら、その箇所に輸液を流し光学顕微鏡にて炎症の程度を観察する。圧迫止血で炎症反応が消失もしくは減少しない場合、採血のために一時的に止めた輸液開始までの時間を延ばすなどの実験を行い、新たな方法を確立できるようにする。
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Causes of Carryover |
本研究は動物の組織標本を作成し、それを生物顕微鏡で評価していく手法をとる。組織標本では好中球の個数を数える作業を行うため生物顕微鏡は鮮明に観察可能なものが必要であり、オリンパスBX53LED-44を購入した。そこで、データ収集に必要な手術板や手術器具セットの購入費が不足となり、翌年度分の助成金の一部を使用した。
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