2022 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental studies on the expression of pain
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18K10156
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
小池 敦 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (10321316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痛み / コミュニケーション / 看護支援 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護におけるコミュニケーションに関する基礎研究である。患者と看護師のコミュニケーションの中でも、臨床場面で接することの多い「痛み」に関する言葉に焦点を当てている。患者と看護師のコミュニケーションにおいて、看護師は受容的態度に基づく『傾聴』を通して、患者の「痛み」に関する言葉を文字通り受け止める。その際、患者の発する「痛み」を表す言葉を看護師がどのように受け止め、看護の支援に活用しているかは看護師個人の力量に依存する場合が多いように思われる。これまでの研究には、痛みを訴えやすい患者のパーソナリティについてなどの報告はあるが、患者からの「痛み」の訴えを受け止める立場にある看護師についての研究はほとんど見られないという現状がある。そこで本研究では、看護援助の中での患者-看護師コミュニケーションにおいて「痛み」に関する言葉の用いられ方や受け止め方について、ケアの実践者である看護師の個人的背景の関与に注目して、明らかにすることを目的としている。 昨年度に引き続き、看護に限らず広く「痛み」の表現に関する先行研究の再確認を行った。加えて、小規模ながら質問紙調査を実施した。「痛み」が日常生活に影響する程度について異なる9場面を設定し、「痛み」の表現15語の使われ方の程度に関してデータの収集を行った。併せてそのような場面での「痛み」表現の使用頻度がエゴグラムによる性格傾向と関係あるか検討した。その結果、「痛み」によって影響される程度の異なる9場面で「痛み」表現の使用頻度は異なっていた。性格傾向に関しては、9つの場面と使用する「痛み」表現でエゴグラムにおけるAdultの側面との間に負の相関を示すものがあったが、全体の傾向として把握できるような結果ではなかった。ただし、対象者が限られていた結果であるため、次年度データの集積を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「痛み」の言語表現に関する先行研究と照らし合わせて、「痛み」の言語表現に関する質問紙を作成し、さらに併せて実施する予定の対象者の個人的背景となるパーソナリティなどの心理検査の選定を行い、予備的な調査に入った。昨年度から続く医療現場の切迫した状況などから、データ収集可能な調査対象に限った調査研究のみの実施であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した予備的調査に加え、対象範囲を広げて研究を実施する。また、今年度の結果を踏まえて、更に多角的な視点でパーソナリティをとらえる必要があることから、今年度と異なるパーソナリティ検査も用いながら、「痛み」の言語的表現の使用状況について質問紙調査を実施する。調査を依頼する医療現場は昨年と同様の状況である可能性が考えられるが、依頼先を広げるなどして実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由と使用計画】 今年度、調査の準備を進め数種類の性格検査などを購入し一部調査を実施した。しかしながら、予備的調査にとどまったため、予定していた支出がなかった。次年度については、今年度計画していた調査について対象を広げて調査を実施予定するとともに、新たに別の性格検査等についても購入し、研究を進めていく予定であり、今年度と次年度の助成金を合わせて使用したい。
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