2020 Fiscal Year Research-status Report
看護系研究における研究倫理指針の構築──フィンランドをモデルとした国際比較
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18K10167
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長沼 淳 順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (90424233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 佳子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (20637102)
酒井 太一 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50363734)
山下 巌 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (70442233)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィンランドの自律を促す教育制度 / 看護研究における倫理性確保 / 多民族共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は前年度までに実施した調査の報告書作成、ならびに追加調査項目の作成を行った。 具体的には初年度、大学、小学校において収集したインタビュー内容の整理、ならびに次年度に行った高等学校、保育園、保育園博物館における実地調査、インタビュー内容の整理を行い、類似の項目と独立と見なせる項目に分け、我が国の状況との異同をまとめる作業を中心に行っている。保育園から大学に至るまで、各世代において自律性を要求するような教育内容、受験制度の整備の経緯や実態など興味深い状況が次々と明らかになってきている。またそのような教育体制ができ上がった背景には、フィンランド特有の国家の独立、自立、発展を視野に入れた事情が数多くちりばめられており、我が国においても参考になる状況が明らかになっている。 しかしながら、フィンランドにおける調査内容、それらが示唆する状況の理解のための分析が想像以上に多岐に亘っており、調査結果をどのように整理し、まとめるかについて研究分担者らと情報の共有を行いながら、研究責任者が中心となって、調査結果の分析、整理、報告書の作成を行っている。また調査内容の分析によって、不明点、あいまいな点が多数現れてきたため、追加の調査の必要性が明らかになってきている。そこで追加調査が必要な項目の整理を行い、新たな調査の方向性について、研究分担者と検討を行い、具体的な調査の方法、ならびに実際の調査実施の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、二年目まではほぼ予定通りの研究、調査を進めることができた。しかし、三年目の調査、分析に当たり、Covit-19の世界的流行に伴い、追加調査、研究分担者以外の研究者との情報交換、追加調査等の実施がほぼ止まってしまった。国内外における移動の制約や、本研究に携わる研究者が所属する大学等においてコロナ禍における研究以外の講義や演習等の教育体制の再構築、学生対応等が新たに発生し、現在においても適切な対応策の構築に忙殺されているといっても過言ではない。そのため、本来三年目に終了させる予定だった本研究も一年間の延長を申請し、三年目に実施予定だった調査、分析、報告書の作成などを今年度(四年目)に実施し、研究成果の公表などを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題について、今年度の予定は先述のとおりであるが、看護研究における倫理性を担保する指針の策定にまではまだまだ検討するべき課題が山積していることが明らかとなってきている。そのため、本年度より本研究課題をさらに展開し、当初の目的を達成するために、新たな研究申請を行い、新たな科学研究費助成を受けることが認められた。フィンランドモデルのアウトラインを明確にしながら、我が国における看護研究倫理審査の課題を詳細に明らかにすることを当座の課題とする。その上で本研究の成果を元に、我が国の看護研究の倫理性を担保する研究倫理指針のあり方を追求する予定である。本年度より医学系研究の倫理指針がヴァージョンアップするので、それに対応した看護研究倫理の指針をまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、新規の国内調査が全く行えず、また研究成果の取りまとめ等にも遅れが生じている。今年度は昨年停滞した計画事項を着実に実施し、一年間の遅れを取り戻す予定である。したがって必要となる経費も、昨年使用予定だった学会参加や論文の取りまとめ等に充当する予定である。
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